
自分は、20年以上長くコーチングを学んできました。
相手の話を聴くこと。
相手の立場に立って考えること。
すぐに否定せず、その人なりの考え方や背景を受け止めること。
そうしたことを、知識として学ぶだけでなく、日々の中で訓練してきたつもりです。
以前の自分と比べれば、人と話すことも増えました。
用件だけで会話を終わらせるのではなく、相手の話に耳を傾けたり、自分から声をかけたりすることも、少しずつできるようになりました。
人と関わる力は、以前より身についてきたのだと思います。
しかし最近、ふと思うことがあります。
自分は、本当に人が好きなのだろうか、と。
もちろん、人が嫌いということではありません。
誰かの話を聴いたり、その人が前に進む姿を見たりすることには、喜びを感じます。
それでも、心から落ち着くのは、人の多い場所よりも、自然や動物のそばにいるときです。
庭の木々を眺めているとき。
畑の草や土に触れているとき。
鳥の声を聞いているとき。
猫やほかの動物の姿を見ているとき。
そのような時間には、人と接しているときとは違う安心があります。
人といると、知らないうちに気を遣っている
人と一緒にいると、自分は思っている以上に多くのことを感じ取っています。
相手の表情。
声の調子。
言葉の裏側。
その場の空気。
自分がどう見られているか。
何を言えば相手が不快にならないか。
自分では普通に接しているつもりでも、無意識のうちに、かなり気を遣っているのかもしれません。
コーチングを学んだことで、相手をよく見たり、話を丁寧に聴いたりする力は身につきました。
しかし、よく見えるようになったからこそ、以前より多くのものを受け取ってしまうこともあります。
相手の感情や、その場の空気まで、自分の内側に入ってくる。
人と関わる力が高まることと、人と一緒にいることで元気になることは、同じではないのだと思います。
自然や動物は、何も求めてこない
自然や動物のそばにいるとき、自分はそれほど気を遣いません。
木は、自分に気の利いた言葉を求めません。
鳥は、自分がどのように見られているかを考えさせません。
猫は、無理に会話を続けようとはしません。
ただ、そこにいます。
こちらも、ただそこにいることができます。
何かを説明しなくてもよい。
自分をよく見せなくてもよい。
相手に合わせて言葉を選ばなくてもよい。
自然や動物との間には、人間同士のような複雑なやり取りがありません。
だからこそ、自分も自然な状態に戻れるのだと思います。
人を受け入れることは、何でも受け入れることではない
コーチングでは、相手を受け入れる姿勢が大切だと言われます。
しかし、相手を受け入れることと、その人のすべてに合わせることは違います。
相手の考えを否定しないことと、その考えに同意することも違います。
相手がそう感じていることは認める。
そう考える背景があることも理解しようとする。
しかし、自分まで同じ考え方をする必要はありません。
その場に居続ける必要もありません。
人の不満や批判が繰り返される場にいて、自分の心まで重くなっていくなら、少し距離を取ることも必要です。
それは、相手を拒絶することではありません。
相手には相手の世界があり、自分には自分の世界があると認めることです。
距離を取ることは、冷たさではない
以前の自分は、相手に合わせられないと、自分が冷たい人間のように感じることがありました。
話を聞かなければならない。
相手に合わせなければならない。
その場の雰囲気を壊してはいけない。
そう思い、少し無理をしていたのかもしれません。
けれど、誰とでも同じ距離で接する必要はありません。
近くで支えたい人もいる。
少し離れた場所から見守る人もいる。
必要なときだけ関わる人もいる。
距離が違うだけで、相手の存在を否定しているわけではありません。
むしろ、無理に近づいて心の中で相手を嫌いになるよりも、自分に合った距離を保つ方が、相手を穏やかに受け入れられることもあります。
コーチは、人が大好きでなければならないのか
コーチングに関わる人は、人が好きでなければならない。
どこかで、自分もそう考えていたのかもしれません。
しかし、今は少し違うように思います。
コーチに必要なのは、誰とでも長時間一緒にいたいと思うことではありません。
目の前にいる人を、一人の人間として尊重することです。
相手を自分の思い通りに変えようとせず、その人が自分で考え、自分で選ぶことを信じる。
その瞬間、丁寧に向き合うことができればよいのだと思います。
人といることで充電される人もいます。
一方で、人と丁寧に関わるために、一人になる時間や、自然に戻る時間が必要な人もいます。
自分は、後者なのだと思います。
自分に戻る場所を知っておく
人と関わることは、自分の世界を広げてくれます。
人との会話から気づくこともあります。
誰かの存在によって、自分一人ではできなかったことができることもあります。
だから、人とのつながりは大切です。
しかし、人とつながり続けるためには、自分に戻る場所も必要です。
自分にとって、それが自然や動物のそばなのでしょう。
そこで気持ちを整え、自分の心柱に戻る。
そして、また必要なときに、人と向き合う。
人から離れる時間は、人を拒絶する時間ではありません。
次に人と丁寧に関わるために、自分を整える時間です。
人を受け入れられるようになることと、
すべての人に合わせることは違う。
人と関わる力を身につけることと、
いつも人と一緒にいたいと思うことも違う。
自分は、コーチングを通して、人と関わる力を学んできました。
けれど、自分が自分に戻れるのは、今も自然や動物のそばです。
それでよいのだと思います。
自分に合った距離を知っているからこそ、
無理をせず、人を尊重することができる。
人を大切にするためにも、
まず、自分が自然でいられる場所を大切にしたいと思います。
この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・
今日も佳き日に コーチミツル
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