前回は、熱田修二師匠からいただいた、
「100回の練習より、1回の本番」
という言葉について書きました。
2022年11月から人前で演奏することを続ける中で、熱田師匠は、自分たちの編成に合わせて多くの曲を編曲してくださいました。
改めて一覧にしてみると、その数は80曲近くになっています。
80曲は、師匠が費やしてくださった時間でもある
曲の一覧には、ジャズのスタンダード、日本の歌、ポップスなど、さまざまな曲が並んでいます。
カルテットで演奏する曲もあれば、トロンボーンやテナーサックスを加えたクインテットで演奏する曲もあります。
一曲を編曲するためには、単にメロディーを書くだけではありません。
それぞれの楽器の音域や役割を考え、イントロやエンディングをつくり、実際のメンバーで演奏できる形へ整える必要があります。
自分は完成した楽譜を受け取り、演奏させていただいてきました。
しかし、80曲近いタイトルを改めて眺めると、その一曲一曲に、熱田師匠が費やしてくださった時間があることに気づきます。
これは単なる曲のリストではありません。
自分たちが舞台に立つために、師匠が積み重ねてくださった財産です。
演奏前に、曲の背景も伝えたい
毎月のライブで演奏する中で、曲の背景をお客さまに少しお話しさせていただいています。
いつごろ作られた曲なのか。
誰が作曲したのか。
映画やミュージカルのために生まれた曲なのか。
題名にはどのような意味があるのか。
そうしたことを少し知ってから聴くと、同じメロディーでも感じ方が変わることがあります。
曲とお客さまをつなぐ短い言葉も、ライブの一部です。
そこで最初は、毎月演奏する6曲から10曲について、一曲ずつ調べ、MC原稿を作るつもりでした。
選曲のために作った一覧があった
自分は、演奏曲を選ぶために、熱田師匠からいただいた楽譜の曲名をExcelへ入力していました。
もともとは、どのような曲があるのかを確認し、選曲しやすくするための見出しでした。
今回、まず次のライブで演奏する曲をAIへ入力し、
「年代、作曲者、曲の背景を入れて、30秒から1分で話せる紹介文を作ってください」
とお願いしてみました。
すると、数曲分のMC原稿が短時間でできました。
そこで、ふと思いました。
毎月数曲ずつ作るのではなく、選曲用の一覧を使って、全曲分を一度に作れないだろうか。
10分ほどで、全曲分の土台ができた
Excelの一覧をAIに読み込ませ、番号順に解説文を作るように依頼しました。
すると、80曲近いMC原稿の土台が、ほんの10分ほどで形になりました。
年代。
作曲者や作詞者。
映画やミュージカルとの関係。
曲名の意味。
代表的な演奏者や、ちょっとしたうんちく。
それらが、ライブでそのまま話せる文章として並びました。
最初は、毎月演奏する曲だけを個別に作る予定でした。
それが、選曲のために作っていた一覧を使ったことで、一気に80曲近くまで広がりました。

AIの答えは、確認して完成させる
もちろん、AIが作った内容を、何も確認せずそのまま使うことはできません。
曲名のスペルが違っていれば、別の曲として調べてしまうことがあります。
同じ題名の曲が複数存在する場合もあります。
今回も、一覧にある曲名だけでは作曲者を特定できず、Youtubeの演奏動画を確認して修正した曲がありました。
そのため、AIが出したものは完成品というより、短時間で作られた下書きです。
最後は、人が確かめなければなりません。
しかし、一曲ずつゼロから検索し、情報を整理し、話し言葉へ直すことに比べれば、作業にかかる時間は大きく変わります。
AIは、何でも正しく答える魔法ではありません。
けれど、自分が持っている情報を整理し、形にするための、とても頼もしい助手になります。
楽譜に貼れば、曲を演奏するときにすぐ話せる
完成したMC原稿は、曲の番号順にWordへまとめました。
それを印刷して、それぞれの楽譜へ貼ることにしました。
そうすれば、その曲を演奏するとき、楽譜を開くだけで、年代や作曲者、曲の背景を確認できます。
曲順が急に変わっても、MCを一から考える必要がありません。
毎月のライブだけでなく、別のイベントや依頼演奏でも使えます。
楽譜はこれまで、主に音を演奏するためのものでした。
そこへMC原稿を貼ることで、
「演奏し、曲について語るための楽譜」
になりました。
AIがつくったのではなく、積み重ねが形を変えた
今回、AIを使うことで、80曲近いMC原稿の土台を短時間で作ることができました。
しかし、AIだけでこの原稿が生まれたわけではありません。
熱田師匠が編曲してくださった楽譜がありました。
毎月演奏する場がありました。
選曲のために作ってきた一覧がありました。
そして、その曲を何度も演奏してきた経験がありました。
AIがしたのは、これまで蓄積されていたものを見つけ、新しい使い方ができる形へ整えたことです。
材料がなければ、AIにも何もつくることはできません。
80曲近い原稿が10分ほどで形になった背景には、4年近くの時間と、熱田師匠の長い積み重ねがあります。
続けたものは、思いがけないところでつながる
選曲の一覧を作ったとき、それをMC原稿に使うとは考えていませんでした。
一枚ずつ楽譜を受け取ったときも、80曲近い財産になるとは想像していませんでした。
続けている途中では、その経験や記録が、将来何に役立つのか分からないことがあります。
一回の本番。
一枚の楽譜。
一行ずつ入力した曲名。
それらが蓄積され、AIという新しい道具と結びついたことで、別の価値を持つようになりました。
努力をAIが代わりにしてくれたわけではありません。
続けてきたものがあったからこそ、AIによって次の形へ進むことができたのです。
これからは、熱田師匠が編曲してくださった一曲一曲を、演奏だけでなく、曲が生まれた背景や魅力とともにお客様へ届けていきたいと思います。
80曲近い楽譜は今、自分にとって「演奏し、語ることのできる財産」になりました。
この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・
今日も佳き日に
コーチミツル
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