592. 茅の輪をくぐるということ(半年を祓い、もう一度歩き出す)

今日7月31日は、氏神さまである眞名井神社の夏越祭(なごしまつり)です。

夕刻からお祭りが行われ、境内には行燈(あんどん)も灯されます。昼間とは少し違う、趣のある眞名井神社を見ることができます。

夏越祭では、人形(ひとがた)に罪穢れを移して、無病息災を祈ります。眞名井神社の社報『まない』※でも、7月31日夕刻の夏越祭と、人形による祓い、茅の輪くぐり、行燈についてお知らせしています。

人形に託して手放す

人形とは、人の形に切られた紙のことです。

この人形で体を撫で、息を吹きかけることで、自分についた罪や穢れを託します。

人形は、自分の代わりとなる「形代」の一つです。

そう考えると、一種の身代わりともいえます。

ただし、誰かを犠牲にする身代わりではありません。

半年の間に抱えてきた疲れや迷い、心に残っているものを、目に見える形へ移して手放すためのものです。

大祓は、心身についた穢れや、災いの原因となる罪や過ちを祓い清める神事です。人形を使って半年間の穢れを祓い、神社によっては茅の輪を三度くぐって無病息災を祈ります。

半年も暮らしていれば、何も背負わずにいることはできません。

疲れたこと。

思うようにいかなかったこと。

人とすれ違ったこと。

自分を責めてしまったこと。

夏越祭は、それらをなかったことにするのではなく、いったん下ろして、自分を整え直す節目なのだと思います。

茅の輪をくぐる意味

茅の輪は、茅などの植物を束ねて作られた大きな輪です。

輪には、始まりも終わりもありません。

巡りながら元の場所へ戻り、そこからまた先へ進みます。

茅の輪をくぐることは、輪の向こう側へ移動するだけではなく、一つの境界を越えることのように感じられます。

輪の手前には、半年分のものを抱えた自分がいる。

輪をくぐる間に、それらを少しずつ下ろしていく。

そして輪の先には、もう一度日常へ戻っていく自分がいる。

輪の中が本当に異界であるというわけではありません。

それでも、鳥居や門をくぐったときに、心が切り替わることがあります。

茅の輪もまた、日常と神聖な時間を分ける、目に見える境界なのかもしれません。

くぐり方は神社によって異なる

茅の輪くぐりでは、左、右、左と八の字を描くように、三度くぐる方法がよく知られています。

自分が以前参拝した広島の白神社でも、くぐる順序や回り方が決められていました。

しかし、茅の輪のくぐり方は、全国すべての神社で同じではありません。

回る方向や回数、唱える言葉が異なることもあれば、神職の方の後に続いてくぐるところもあります。神社本庁が紹介する事例にも、神職の先導で三度くぐり、歌を唱えながら神前へ進む神社があります。

そのため、参拝した神社に案内がある場合は、その作法に従うことが大切です。

作法が違うから、どちらかが間違っているということではありません。

それぞれの土地や神社で受け継がれてきた祈りの形があるのでしょう。

ブルガリアにもある植物の輪

眞名井神社の社報にも書きましたが、ブルガリアにも、日本の茅の輪くぐりを思わせる習慣があります。

6月24日頃の「エニョヴデン」という夏至の時期の行事です。

薬草や花を編んで大きな輪を作り、人々が健康や幸福を願って、その輪をくぐります。ブルガスの民族博物館でも、薬草の輪をくぐり、健康や幸運を願う習慣が紹介されています。

日本の茅の輪とブルガリアの薬草の輪に、直接的な歴史上のつながりが確認されているわけではありませんが、

それでも、

植物で大きな輪を作ること。

その中を体ごと通ること。

季節の節目に健康を願うこと。

遠く離れた国に似た習慣があるのは、とても興味深いことです。

日本の茅の輪では、穢れを祓い、無病息災を願います。

ブルガリアの薬草の輪では、植物の力を受け、健康や幸福を願います。

一方は、不要なものを下ろす祈り。

もう一方は、新しい力を受け取る祈り。

けれども、本当はその両方が、一つの輪の中にあるのかもしれません。

古いものを下ろすことで、新しいものを受け取る余地が生まれます。

上のエニョヴデンの画像はイメージです。

もう一度、自分として歩き出す

夏越祭は、過ぎた半年を否定するお祭りではありません。

悩んだことも、失敗したことも、その中で頑張ったことも、すべて自分が生きてきた時間です。

それらを捨てるのではなく、必要のない重さだけを下ろす。

そして、また自分として歩き出す。

今日、行燈が灯る眞名井神社で茅の輪をくぐるとき、自分も半年を静かに振り返ってみたいと思います。

輪をくぐったからといって、人生が急に変わるわけではありません。

それでも、

「ここから、もう一度歩いていこう」

と思えることがあります。

祓うとは、自分を否定することではなく、また自分として生きるために整え直すことなのだと思います。

※眞名井神社の夏越祭や茅の輪くぐりについては、社報『まない』第1号でも紹介しています。
こちらからご覧いただけます。

上の画像は、本日2026/7/31の様子です。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に
コーチミツル

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