氏神(うじがみ)様の寄り合い(打合せ)で
今日は氏神様の寄り合いがあり、その冒頭で「閏月(うるうづき)」のお話がありました。
閏年(うるうどし)なら4年に1回オリンピックの年に1日多かったり、閏秒(うるうびょう)と言うのも聞いたことがありましたが、恥ずかしながら、自分はこれまで閏月の存在を知りませんでした。でも、聞いてみると、なるほどと納得できるような自然のリズムのお話だったのです。
閏月(うるうづき)ってなに?
「閏月」とは、太陰太陽暦(旧暦)において、季節と暦のズレを調整するために、ある年にひと月を“余分に足す”しくみのことです。
太陰暦では月の満ち欠けを基準とするため、1年は約354日となり、太陽暦(365日)と比べて約11日短くなります。そのズレを解消するために、約2〜3年に1度、閏月を挿入して暦を調整するのです。
たとえば、2025年は「閏2月」が挿入されており、旧暦では2月が2回あるという特別な年になります。ちなみに「閏2月」は、2025年3月30日〜4月28日の期間にあたるそうです。
閏月と気候の不思議な関係
今年(2025年)は、4月・5月になっても気温がなかなか上がらず、春の訪れが例年よりゆっくりに感じられました。
寄り合いでのお話では、「閏月のある年は季節が少し後ろにずれ込む傾向がある」とのこと。
実際の2025年4〜5月の気温について
気象庁のデータ(2025年5月まで)を確認すると
- 全国的に4月の平均気温は 平年よりやや低め。
- 5月も 日照時間が短めで、寒暖差が大きい日が多かった。
👉 つまり、今年の春が寒かったのは事実であり、これを「閏月の年だから」と重ねて感じたとしても不思議ではありません。
実質気温は例年より低めでしたが、閏月との因果関係はあるのでしょうか?
観点 | 説明 |
---|---|
科学的因果関係 | 閏月と気温の間に直接的な因果関係はない |
暦とのズレ | 閏月により、旧暦の季節感が後ろにずれることがあり、「春が来ない」と感じる要因に |
2025年春の実情 | 実際に気温が低めだったため、暦との「ズレ感覚」がより強調された可能性がある |
因果関係は微妙ですが、実際のところ、旧暦のリズムに合わせた農作業や季節の行事を重んじる地域では、閏月のある年に“種まきの時期が遅れる”といった調整をしているところもあるそうです。
暦(こよみ)の背景
これまでも太陰暦については折に触れてお知らせしてきました。(161.ご先祖と出会った朔日 (月のリズムに暮らしをゆだねて))
日本で太陽暦(グレゴリオ暦)が公式に採用されたのは、明治5年(1872年)12月3日をもって「明治6年1月1日」としたことが始まりです。それ以前は、太陰太陽暦(旧暦)が使われていました。
閏月の導入は、中国で生まれた「宣明暦」や「貞享暦」などの暦法をもとに、日本でも江戸時代に広く使われてきました(※1)。
旧暦の天文学的な根拠としては、次の点があります。
- 太陽年(約365.24日)と
- 太陰暦の12朔望月(約354.37日)には約11日分のずれがある
→ このずれを約3年に1回の「閏月」で補うことで、季節感を暦に調和させる
自然と調和する感覚
自分は畑をやっていることもあり、自然の変化を敏感に感じ取ろうとしてきましたが、「閏月」があることを知ると、これまでうまく言葉にできなかった季節の“ゆらぎ”が、少しだけ腑に落ちたような気がします。
「昔の人はすごいなあ」と感じると同時に、今の自分も暦に合わせて、月の満ち欠けや自然の声にもう少し耳をすませてみようと思いました
ゆっくりでも、季節はめぐる
今年はいつもより春がのんびりしている気がします。
でも、閏月の年だからこそ、「ちょっと立ち止まって、ゆっくり歩いてみるのも悪くない」と思えました。
時間に追われる日々の中で、たまには旧暦を意識して自然と調和する感覚を取り戻してみるのも良いかもしれませんね。
今日も佳き日に
コーチミツル
閏月 #旧暦の知恵 #自然と暮らす #季節のゆらぎ #太陰太陽暦 #暦のある暮らし #春が遅い理由 #氏神様の寄り合い #コーチミツルブログ
参考文献:
※1:国立天文台「暦Wiki」より
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/