165.畑から出てきた陶器のかけら(出雲国の土に眠る、奈良時代の記憶)

先日、畑で作業をしていたときのことです。

ふと目に留まったのは、小さな陶器のかけら。
手に取ってみると、艶々していてまるで湯呑のような質感と色合いをしていました

「これは、いったいいつの時代のものなんだろう…?」

そんな思いが膨らみ、気になってたまたま近くで発掘作業をされていた埋蔵文化財センターの方に訊いてみました。
すると、そのかけらは**江戸時代(近世)**のものではないかとのこと。
何気なく手にしたものに、そんなに古い歴史があるとは思ってもみなかったので、とても驚きました。

実は、自分が暮らすこの地域――**出雲国の「意宇郡(おうぐん)」**と呼ばれていた場所は、
古くから出雲の中心として栄えてきた土地で、今でも奈良時代の遺構がたびたび発掘されています。

意宇郡とは、どんな場所だったのでしょう?

「意宇郡(おうぐん)」とは、奈良時代に置かれていた出雲国の郡のひとつで、
現在の松江市・出雲市・安来市の一部などにまたがる地域です。

自分が住んでいる地には、出雲国の政治の中心であった国庁(こくちょう)や国分寺跡が残されており、
歴史的にもとても重要な場所とされています。

また、国庁に隣接していたとされる**意宇郡家(おうぐうけ)**では、
郡の役人たちが政治や徴税、農業の管理などを行っていたそうです。

埋蔵文化財センターの方によると、
最近の発掘調査では、奈良時代の建物跡や土器・木簡(もっかん)、墨書土器などが見つかっていて、
当時の人々の暮らしぶりを今に伝えてくれているとのことでした。

📚 参考資料
・『出雲国風土記』(奈良時代)
・島根県立古代出雲歴史博物館「出雲国庁と意宇郡」
・文化庁「国庁・郡家の構造と役割」
・島根県埋蔵文化財調査報告

土の中に、物語が眠っている

どうして自分が見つけた陶器のかけらについて尋ねることができたかと言うと、何年も前から計画されていた道路拡幅工事のために発掘作業が行われており、埋蔵文化財センターの方もいらっしゃったからです。


通りかかった時、思い切って声をかけてみたのですが、その方はとても丁寧に、今まさに奈良時代の遺構が発見されていることを教えてくださいました。

「この地面の下に、千年以上前の人たちの生活が広がっているんだ…」
そう思うと、今自分たちが耕している畑も、どこか時代を超えた“つながり”の中にあるような気がしてきます。

小さなかけらが、教えてくれたこと

ほんのひとかけらの陶器が、
自分に教えてくれたのは、「今の暮らしが、過去の積み重ねの上にある」ということ。

手で土を耕し、種をまき、野菜を育てるそのひとつひとつが、
遠い昔の誰かと同じような営みの延長にあるのかもしれません。

目には見えないけれど、地面の下には、きっとたくさんの“物語”が眠っています。

いつもと変わらない畑仕事のなかで、


歴史にふれるような体験ができたことは、本当に不思議で、ありがたいことでした。

もしまた何かを見つけたら、
それは単なる“ガラクタ”ではなく、
「この土地の記憶」なのかもしれない――
そう思って、丁寧に向き合っていきたいと思います。

今日も佳き日に

コーチミツル

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