
20回シリーズのこの企画も半分までやってきました…。
十七条憲法の第8条には、次の言葉があります。
群卿百寮、早朝晩退
(ぐんけいひゃくりょう、そうちょうばんたい)
意味は
役人たちは朝早く出仕(しゅっし)し、遅く退出しなさい
ということだそうです。
最初は、「朝早く仕事に出て夜になったら帰りなさい」
と言う意味かと思い、規則正しい生活を1400年前の役人はしていたのかなと感じていましたが、
ここで気になるのが
**「晩退(ばんたい)」**という言葉です。
これは単に
「夜まで働きなさい」
という意味なのでしょうか。
条文の続きにヒントがある
実は第8条には、この後に続く文章があります。
公事いとまなし。終日にも尽くし難し。
遅く朝れば急なるに逮ばず。早く退れば必ず事尽さず。
簡単に言うと
公の仕事はとても多く、一日あっても終わらない。
朝が遅いと急な仕事に対応できないし、
早く帰ると仕事が終わらない。
という意味です。
つまりここで言われている
**晩退(ばんたい)**とは
「夜まで働け」
というより
仕事が終わる前に帰ってはいけない
という考え方に近いようです。
昭和の時代のモーレツ社員的な感じでしょうか?(笑)
飛鳥時代の役人の働き方
当時の役人は、今のような
「9時から17時」
のような勤務制度で働いていたわけではありません。
役人の仕事は
- 天皇の政治を支えること
- 法や制度を整えること
- 外交や国家運営
など、国家の基盤を作る仕事でした。
しかも飛鳥時代は、
まだ国の制度が整い始めたばかりの時代です。
そのため
公事いとまなし
(公務はとても多い)
という言葉が残されているのです。
働き方改革との違い
現代では
働き方改革
という考え方があります。
- 長時間労働を減らす
- 時間を守って働く
- ワークライフバランスを大切にする
これはとても大切な考え方です。
しかし一方で
「まだやりたい仕事があるのに帰らなければならない」
という声も聞くことがあります。
ここで感じるのは、
聖徳太子が言っているのは
労働時間の長さではなく
仕事に向き合う責任
なのではないかということです。
1400年前のメッセージ
1400年以上前の言葉ですが、
そこにあるのは
公の仕事を担う者の姿勢
です。
社会は
誰かが
責任を持って
役割を果たすことで成り立っています。
聖徳太子は
その基本を
とてもシンプルな言葉で示したのかもしれません。
この条文を読むと、自分はこう感じました。
時間で働くのか。
それとも責任で働くのか。
1400年前の言葉が
今の働き方にも問いかけているように思えます。
この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・
今日も佳き日に
コーチミツル
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参考文献
- 『日本書紀』巻第二十二(推古天皇十二年条)※
- 梅原猛『聖徳太子』集英社
- 倉本一宏『聖徳太子の真実』講談社現代新書
- 井上光貞『日本国家の起源』岩波新書
※十七条憲法の原文は『日本書紀』に記録されています。