年末になると、清水寺で「今年の漢字」が発表されます。
今年の世相を表す漢字は「熊」でした。
自然との距離、
人が制御できないものとの向き合い方。
そんな問いが、静かに浮かび上がった一年だったように思います。
一方で、自分は毎年、
その年が終わる前に「自分自身の漢字」を決めています。
今年、自分が目標として掲げていた漢字は
「築」 でした。
「築」という一年を経て
「築」という字は、
一気に完成させるものではなく、
時間をかけて積み上げていく という意味を持っています。
振り返ってみると、
・毎日のブログ更新
・Well-Logとしての思考の蓄積
・Spotifyで声を重ねること
・音楽と日常を往復し続けたこと
どれも派手ではありませんが、
確かに「基盤」をつくる一年だったように思います。
来年の漢字候補には「伸」もありました
来年の漢字を考えたとき、
最初に浮かんだ候補のひとつは 「伸」 でした。
ブログの購読数を伸ばしたい。
Spotifyの再生回数を伸ばしたい。
音楽のレベルも、出演の機会も伸ばしたい。
どれも、正直な願いです。
「築いてきたものを、次は外へ伸ばしていく」
その流れとして、「伸」はとても分かりやすい漢字でした。
それでも「化」を選んだ理由
ただ、考え続けるうちに、
いま起きている感覚は「伸びる」というよりも、
意味そのものが変わり始めている
そんな感触のほうが強くなってきました。
同じことをしているのに、
言葉の届き方が違う。
同じように吹いているのに、
音の残り方が違う。
それは量の変化ではなく、
質の変化――
つまり「化(ばける)」なのではないか、
そう思うようになりました。
「化」という漢字が持つ意味
「化」という字は、
形や性質が変わることを表します。
古い字形をたどると、
「人が人でなくなる姿」
つまり、別のものへ移り変わる ことを示していました。
成長や進歩というよりも、
- 状態が変わる
- 見え方が変わる
- 役割が変わる
そうした 境界の揺らぎ を含んだ漢字です。
これは、
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が描いた
日本の姿とも、深く重なります。
「化」を含む言葉たち
「化」を使った熟語を眺めてみると、
この漢字の奥行きがよく分かります。
- 変化:形や状態が移り変わること
- 消化:取り込み、自分の一部にすること
- 進化:環境に応じて姿を変えること
- 文化:人の営みが時間をかけて形づくったもの
- 同化:異なるものが溶け合うこと
- 化身:本体とは別の姿として現れること
どれも、
「伸びる」だけでは生まれない言葉です。
ハーンが見ていた日本も、
固定された文化ではなく、
こうした 化の連続 の中にありました。
「ばけばけ」の途中にいるという感覚
「ばける」という言葉には、
どこか怪しさがあります。
正体が分からなくなる。
説明しきれなくなる。
けれど同時に、
そこには面白さや、物語が生まれます。
いまの自分は、
まだ完成形ではありませんが、
ばけばけの途中 にいる。
そう考えると、
来年の漢字は「伸」よりも
「化」 のほうがしっくりきました。
伸びる前に、化ける
築いてきたものは、
すぐに数字になるとは限りません。
けれど、
在り方が変わったとき、
世界の見え方は確実に変わる。
伸びるのは、その先でもいい。
来年は、
何かになる一年。
何かに化けていく一年。
そんな時間を、
静かに味わっていきたいと思います。
あなたはいま、
何を伸ばそうとしていますか。
そして、
何に化けようとしているでしょうか。

今日も佳き日に
コーチミツル
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