
最近、自分の「好きなもの」が、昔と少しずつ変わってきたなぁと感じることがあります。
たとえば音楽。若い頃は、テンポが速くて元気いっぱいの曲が大好きでした。スペクトラムの「アクトショー」をよく聴いていたのを思い出します。あ、もちろん今でも気合い入れる時に聴いていますが、あの勢いに、自分の気持ちまで引っ張られていたんですね。
でも、ここ数年は、リーモーガンの「I Remember Clifford」のような、静かで落ち着いたジャズやバラードを聴くようになってきました。
さらに、以前はあまり聴かなかった演歌にも、独特の味わいや深さを感じるようになってきたんです。
「なんだか、好みが変わってきたな」
そんなふうに思って、ふと不思議に感じました。これは、自分の中の何が変わったのでしょう?
今日は、「好みの変化」について、音楽や味覚をテーマにお話ししてみたいと思います。
音楽の好みが変わるのはなぜ?
若い頃は、元気が出るような曲、テンションが上がるような音楽に惹(ひ)かれていました。
おそらくそれは、心も体も「外に向かう力」であふれていたからではないかと思います。
活動的な時期には、それに合ったエネルギッシュな音が、気持ちにぴったりだったんですね。
でも、年齢を重ねると、自然と「内側」に目が向いてくるようになります。
落ち着いたメロディーや、ゆっくりと語りかけるような曲の方が、今の自分にはしっくりくる。
そんなふうに感じることが増えてきました。
脳の変化と音楽の感じ方
調べてみると、こうした好みの変化には、「脳」の働きが関係していることもあるそうです。
感情をつかさどる「扁桃体(へんとうたい)」や、思考や判断をコントロールする「前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)」といった部分の働きが、年齢とともに少しずつ変わってくるんですね。
また、人生経験が増えることで、音楽を聴いたときに「懐かしさ」や「共感」を感じやすくなると言われています。
そうした気持ちが、落ち着いた音楽を好む理由にもなっているのかもしれません。
食べ物の好みも変わっていく
これは音楽だけではなく、食べ物の好みにも言えることです。
たとえば、子どもの頃にピーマンやゴーヤ、辛いものが苦手だった方も多いのではないでしょうか?
実は、人間には「苦味」を「毒かもしれない」と感じて避けようとする本能があり、特に子どものうちはその反応が強いのだそうです。
でも、大人になると、「これは大丈夫な苦味」「これはおいしい味」と、少しずつ学んでいきます。
そうして、苦みや渋みのあるものにも「味わい」があると感じられるようになっていくんですね。
さらに、年齢とともに味を感じる「味蕾(みらい)」という細胞が少しずつ減っていくとも言われています。
そのため、以前よりもはっきりした味を求めたり、深い味わいを好むようになることもあるそうです。
「変わった」のではなく「育った」のかも
こうして音楽や食べ物の好みが変わっていくのは、単に「年を取ったから」だけではなく、
自分の中の感覚や感性が「育ってきた」からなのではないかと思います。
若い頃に心が動いた曲も、今だからこそしみわたる音も、どちらも大切なもの。
「変わってしまった」と感じるのではなく、今の自分が「新しいものを感じられるようになった」と思えたら、ちょっとうれしくなりますね。
「好みが変わる」ということは、
「今の自分に合う楽しみを新しく見つけられる」ということでもあります。
むかし苦手だったものが、今はとても好きになっている。
そんな経験がある方も、きっといらっしゃると思います。
変化を受け入れながら、いまの自分をやさしく大切にする。
そんなふうに、歳を重ねていけたらいいですね。
あなたにも、昔は苦手だったけれど、今では好きになったものがありますか?
よければ、ぜひ教えてくださいね。
今日も佳き日に
コーチミツル