158.年を重ねて変わった「好き」なもの(音楽と味覚のふしぎなお話)

最近、自分の「好きなもの」が、昔と少しずつ変わってきたなぁと感じることがあります。

たとえば音楽。若い頃は、テンポが速くて元気いっぱいの曲が大好きでした。スペクトラムの「アクトショー」をよく聴いていたのを思い出します。あ、もちろん今でも気合い入れる時に聴いていますが、あの勢いに、自分の気持ちまで引っ張られていたんですね。

でも、ここ数年は、リーモーガンの「I Remember Clifford」のような、静かで落ち着いたジャズやバラードを聴くようになってきました。

さらに、以前はあまり聴かなかった演歌にも、独特の味わいや深さを感じるようになってきたんです。

「なんだか、好みが変わってきたな」

そんなふうに思って、ふと不思議に感じました。これは、自分の中の何が変わったのでしょう?

今日は、「好みの変化」について、音楽や味覚をテーマにお話ししてみたいと思います。

音楽の好みが変わるのはなぜ?

若い頃は、元気が出るような曲、テンションが上がるような音楽に惹(ひ)かれていました。

おそらくそれは、心も体も「外に向かう力」であふれていたからではないかと思います。

活動的な時期には、それに合ったエネルギッシュな音が、気持ちにぴったりだったんですね。

でも、年齢を重ねると、自然と「内側」に目が向いてくるようになります。

落ち着いたメロディーや、ゆっくりと語りかけるような曲の方が、今の自分にはしっくりくる。

そんなふうに感じることが増えてきました。

脳の変化と音楽の感じ方

調べてみると、こうした好みの変化には、「脳」の働きが関係していることもあるそうです。

感情をつかさどる「扁桃体(へんとうたい)」や、思考や判断をコントロールする「前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)」といった部分の働きが、年齢とともに少しずつ変わってくるんですね。

また、人生経験が増えることで、音楽を聴いたときに「懐かしさ」や「共感」を感じやすくなると言われています。

そうした気持ちが、落ち着いた音楽を好む理由にもなっているのかもしれません。

食べ物の好みも変わっていく

これは音楽だけではなく、食べ物の好みにも言えることです。

たとえば、子どもの頃にピーマンやゴーヤ、辛いものが苦手だった方も多いのではないでしょうか?

実は、人間には「苦味」を「毒かもしれない」と感じて避けようとする本能があり、特に子どものうちはその反応が強いのだそうです。

でも、大人になると、「これは大丈夫な苦味」「これはおいしい味」と、少しずつ学んでいきます。

そうして、苦みや渋みのあるものにも「味わい」があると感じられるようになっていくんですね。

さらに、年齢とともに味を感じる「味蕾(みらい)」という細胞が少しずつ減っていくとも言われています。

そのため、以前よりもはっきりした味を求めたり、深い味わいを好むようになることもあるそうです。

「変わった」のではなく「育った」のかも

こうして音楽や食べ物の好みが変わっていくのは、単に「年を取ったから」だけではなく、

自分の中の感覚や感性が「育ってきた」からなのではないかと思います。

若い頃に心が動いた曲も、今だからこそしみわたる音も、どちらも大切なもの。

「変わってしまった」と感じるのではなく、今の自分が「新しいものを感じられるようになった」と思えたら、ちょっとうれしくなりますね。

「好みが変わる」ということは、

「今の自分に合う楽しみを新しく見つけられる」ということでもあります。

むかし苦手だったものが、今はとても好きになっている。

そんな経験がある方も、きっといらっしゃると思います。

変化を受け入れながら、いまの自分をやさしく大切にする。

そんなふうに、歳を重ねていけたらいいですね。

あなたにも、昔は苦手だったけれど、今では好きになったものがありますか?

よければ、ぜひ教えてくださいね。

今日も佳き日に

コーチミツル

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