先日、マグカップが壊れた出来事をきっかけに、
自分はその出来事に意味づけをしました。
そのときのことは、こちらのブログに書いています。
▶︎ 367回ブログ:マグカップが壊れた出来事について
壊れた、という事実はひとつ。
でも、その出来事をどう受け止めるかで、
心の向きはずいぶん変わるものだと、改めて感じました。
出来事は、ただ起きているだけ
マグカップが壊れた。
それ以上でも、それ以下でもありません。
そこに
「何かの身代わりかもしれない」
「区切りのサインかもしれない」
と意味を添えた瞬間から、出来事は“物語”になります。
人は、出来事そのものよりも、
その出来事をどう解釈したかによって、
感情や行動を決めていきます。
心理学ではこれを「意味づけ(meaning-making)」と呼びますが、
特別なことではなく、
私たちは日常的に、無意識でやっていることです。
意味づけが、人を助けるとき
大きな出来事を経験した人の中には、
「この経験があったから、今の自分がある」
と語る人がいます。
心理学では、こうした変化を
ポストトラウマティック・グロース(心的外傷後成長)
と呼びます。
これは、
無理やりポジティブに考えた結果ではありません。
・苦しかった
・しんどかった
・意味なんて、すぐには分からなかった
それでも時間をかけて、
出来事を自分の人生の文脈に置き直したとき、
あとから意味が立ち上がってくる。
このときの意味づけは、
人を前に進ませる力になります。
でも、意味づけが人を苦しめることもある
一方で、意味づけが逆に働くこともあります。
・「なぜ自分だけが」
・「これは人生の罰だ」
・「自分はダメな人間だという証拠だ」
こうした意味づけは、
出来事以上に人を苦しめます。
研究でも、
意味を見つけようとしすぎることで、反すうや落ち込みが強まる場合がある
ことが指摘されています。
つまり、
意味づけは、万能薬ではない
アクセルになることもあれば、
踏みすぎてしまうアクセルになることもある、ということです。
ポジティブに考えればいい、わけでもない
「前向きに考えた方が幸せになれる」
これは、多くの場合はその通りです。
ポジティブな再解釈が、
心を軽くすることも、科学的に示されています。
でも、大切なのはここです。
今の自分に、その意味づけは合っているか。
疲れているときに
「まだ頑張れる」
と言い聞かせるのは、
アクセルの踏みすぎかもしれません。
ときには、
・これは立ち止まるサインかもしれない
・今はブレーキを踏む時期かもしれない
そんな意味づけの方が、
結果的に自分を守ることもあります。
コーチングでは「事実」を大切にする
ここで、コーチングの視点を少し。
コーチングには
**「承認」**というスキルがあります。
これは、
ほめることでも、
前向きに変換することでもありません。
たとえば、
「マグカップが壊れましたね」
「少し驚いているように見えます」
評価を入れず、
意味づけもせず、
起きていることを、そのまま言葉にする。
これが、コーチングでいう
「事実を伝える」という関わりです。
そして、
その出来事をどう受け止めるかは、
相手に委ねる。
意味づけは、
外から与えるものではなく、
本人の中から生まれてくるものだからです。
意味づけをしない、という選択もある
意味づけは、
必ずしもしなければならないものではありません。
・今日は、ただ壊れた
・今日は、ただ疲れている
・今日は、理由は分からない
それで終わらせてもいい。
意味は、
今つけなくてもいい。
あとから見えてくることも多い。
意味づけは、人生のハンドル

出来事は選べません。
でも、意味づけは選べます。
・前に進むための意味づけ
・立ち止まるための意味づけ
・あえて意味づけをしないという選択
大切なのは、
その意味づけが、今の自分を生きやすくしているかどうか。
意味づけは正解探しではなく、
人生のハンドルのようなもの。
アクセルも、ブレーキも、ニュートラルもある。
どれを選ぶかを決めるのは、いつも自分です。
今、あなたがつけている意味は、あなた自身を少し楽にしているでしょうか。
それとも、少し頑張らせすぎているでしょうか。
今日も佳き日に
コーチミツル
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