675.AI分身シリーズ 第2話|死後も話せるAI ― それは「本人」と言えるのか(全5話)

前回は、AIと終活について考えました。

自分の文章や声、考え方、価値観までAIに残せるようになったら、終活そのものが変わっていくかもしれない。

そんな話でした。

今回は、その先を考えてみます。

もし、自分がこの世からいなくなったあとも、家族がAIの自分と話せるようになったらどうでしょう。

声も話し方も残せる時代

今でも、声のサンプルがあれば、かなり本人らしい声を再現できる技術があります。

自分の場合、音声も100本以上残っています。

ブログも毎日のように書いています。

AIとも、考えていることや価値観についてかなり話しています。

将来、こうしたものをまとめて学習させれば、

「自分らしい声」

「自分らしい話し方」

「自分らしい考え方」

を持つAIをつくることは、かなり現実的になってくるように思います。

そうなると、子や孫が、

「こんな時、じいちゃんだったらどう考える?」

と聞くこともできるかもしれません。

それは本当に「自分」なのか

でも、ここで少し怖くなります。

そのAIは、本当に自分なのでしょうか。

おそらく違います。

自分の文章や声、過去の判断、価値観をもとに、

「この人なら、こう答える可能性が高い」

と推測して話している存在です。

本人そのものではありません。

意識がAIに移ったわけでもありません。

それでも、残された家族から見れば、声も話し方も考え方も似ている。

しかも、質問をすれば返事まで返ってくる。

そうなると、本人との境目は今よりずっと分かりにくくなりそうです。

「おふくろだったら」と考えること

先日、おばちゃんから「さまつ」というキノコをもらいました。

そのまま帰られそうになった時、

「おふくろだったら、どうするかな」

と考えました。

そして、お土産を持って帰ってもらおうと思いました。

おふくろはもうこの世にはいません。

それでも、自分の中には、

「おふくろなら、こうするだろう」

という記憶が残っています。

お客さんが来た時のもてなしでも、同じように考えることがあります。

考えてみると、人間はすでに亡くなった人と、ある意味では対話しているのかもしれません。

頭の中で、その人ならどう考えるかを想像しています。

AIは「あの人だったら」を外に出すもの?

AIがすることも、それに少し似ている気がします。

人間の場合は、自分の記憶をもとに、

「あの人だったら」

と考えます。

AIの場合は、その人が残した文章、声、映像、会話、判断の記録をもとに、

「この人だったら」

をつくる。

つまり、人間の中で行われていたことを、外に出して対話できる形にする。

そんな技術なのかもしれません。

慰めになるのか、離れられなくなるのか

もし大切な人を亡くしたあと、その人のAIと話せたら。

それは大きな慰めになるかもしれません。

聞けなかったことを聞く。

思い出話をする。

その人の声をもう一度聞く。

一方で、ずっとAIと話し続けてしまう可能性もあります。

本人ではないのに、

「まだそこにいる」

と感じ続ける。

それが心の支えになる人もいれば、逆に現実との区切りをつけにくくなる人もいるかもしれません。

だから、技術的にできるかどうかだけではなく、

どこまで使うのがよいのか

も考える必要がありそうです。

残したいのは「自分」なのか

ここまで考えて、少し考え方が変わってきました。

残したいのは、

自分そのものではないのかもしれません。

自分が大切にしてきたこと。

家族への思い。

判断する時に何を基準にしていたのか。

どんな失敗をして、何を学んだのか。

そうしたものが、子や孫に何かを考えるきっかけとして残れば、それで十分なのかもしれません。

「じいちゃんの答えをそのまま聞く」

というより、

「じいちゃんは、こういうことを大切にしていたんだな」

と感じてもらう。

そのくらいの距離感の方が、いいのかもしれません。

では、「自分」は一人なのか

そして、ここからまた別の疑問が出てきました。

もしAIに自分の考え方を残せるのなら、

一人のAIだけでなく、

いくつかの「自分」を作ることもできるのではないか。

コーチとしての自分。

家庭での自分。

音楽をしている自分。

現実的に判断する自分。

挑戦したい自分。

考えてみると、人間も場面によっていろいろな顔を持っています。

では、AIの中に何人の自分を住まわせることができるのでしょう。

次回は、そのことを考えてみたいと思います。

【AI分身シリーズ 第3話へ続く】

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に

コーチミツル

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