ここ数年、ずっと悩んでいました。
燃えるごみの収集日になると、カラスが集積所を荒らす――。
昔は、ゴミ袋の上に網をかけておけば十分だったのですが、2〜3年前からカラスが進化(?)し始めました。
網の隙間や石の置き方の弱点を見つけ、くちばしで器用に網をずらして、生ごみを引っ張り出すように。
ごちそうがあると、仲間を呼んで集団で荒らす…。そんな日もあり、地域では荒らされたゴミを見つけた人が掃除したり、自宅からゴミ袋を持ってきて片付けるようなことも日常になっていました。
精神的にも、なかなかしんどい日々が続いていたのです。
補助金か、寄付か ― 回覧で調整した選択肢
「このままではいけない」と思い立ち、自治会としてごみ収集ボックスの設置を検討。
まずは自治体の補助金制度を利用しようと申請の準備を進めました。
ところが、実際に設置されるまでには約2年かかる見込み。
そのタイミングで、荒らされた集積所をいつも掃除してくださっている方から、「私が寄付しましょうか」とのありがたい申し出がありました。
迷いましたが、回覧を通じていくつかの案を地域に提示し、最終的に過半数の賛同を得て、寄付を受けることに。
その感謝の気持ちを伝えるため、自治会で任意の集金を行いお礼をするという形になりました。
ついに設置!喜びの記念撮影と、あたたかい声
そして本日、ついに待望のごみ収集ボックスが納品されました。
設置を確認したあと、一緒に悩み、支えてくださった方とボックスの前で記念撮影。
「やっとここまで来たなぁ」と感慨深くなった瞬間です。
さらに、自治会名をスプレーで記載している時には、通りがかる町内の方から
「ご苦労さま」「助かるよ」「大変でしたね」と、たくさんのねぎらいの声をいただきました。
ひとつひとつの言葉が、心にじんわりと染みました。
夕暮れに、一人で味わった達成感
作業を終え、夕暮れの時間にもう一度現場に立ち寄りました。
集積ボックスのそばの石に腰を下ろし、ウィスキーのロックを一杯。
辺りは少しずつ暗くなり、虫の声が聞こえる。
静かな空気の中で、「やり切ったなぁ」としみじみと思えたひとときでした。

苦労の先にある「達成感」は、心の栄養になる
心理学では、このような感覚を**「自己効力感(self-efficacy)」と呼びます。
自分の力で困難を乗り越えたとき、人は「自分にはできる」という感覚を得て、それが大きな自信や満足感**につながるとされています(Bandura, 1977)。
さらに、自分だけでなく地域のつながりの中で成し遂げた経験は、**社会的承認(社会的報酬)**となって心に残りやすく、
その後の人生のあらゆる場面でも「やればできる」という前向きな姿勢を生み出します(Ryan & Deci, 2000)。
今後の課題と備え
実はこの課題ここで終わりではないと考えています。設置が完了した今、次に気になるのは、
- 関係のない人が勝手にゴミを入れる(いわゆるフリーライダー問題)
- 車の接触による破損
そのため、自治会名をスプレーで明記し、蛍光テープを貼って目立つようにしました。関係のない人が勝手にごみを入れることについては当初カギを付けることも考えましたが、高年齢の方も多いので、今回は諦めました。フリーライダーは確信犯だと思いますので、やめていただくのがなかなか難しいですよね。そういうわけで、これからも状況を見ながら、柔軟に対策していきたいと思います。
小さな成功体験は、暮らしの中にこそある
カラスとの攻防から始まったこのプロジェクト。
地域の中で工夫し、調整し、実現した「ごみ収集ボックスの設置」は、確かに小さな出来事かもしれません。
でも、そこには多くの想いと行動が詰まっています。
そして、やり切った夕暮れのあの一杯のウィスキーは、今まで味わったどの酒よりも深くて、温かかったのです。
今日も佳き日に
コーチミツル
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