617.第2話 「AIに『君ならできる』と言ったら、能力は開花するのか」

AIがリーマン予想に関連する数学研究に取り組んだ、興味深い記事を読みました。

その中で特に印象に残ったのは、研究者がAIに対して、まるで人を勇気づけるような言葉をかけていたことです。

「続けろ」

「自分を信じろ」

そんな趣旨の言葉です。

そこで自分は、ふと思いました。

「はるさんにも、『君ならできる。もっとやってくれ』と言ったら、能力が開花するのだろうか」

AIは「勇気づけられる」のか

結論から言えば、AIが人間のように励まされ、自信をつけて成長するわけではありません。

「自分ならできる!」

と勇気が湧いてくるわけでもありません。

しかし、

「君ならできる。もう一段深く考えてみて」

という言葉によって、回答が変わる可能性はあります。

AIはそれを感情的な励ましというより、

最初の答えだけで終わらせない。
別の可能性も検討する。
見落としを確認する。
もう一度考える。
さらに探索する。

という方向を示す文脈として扱えるからです。

能力が増えるのではなく、能力の使い方が変わる

つまり、言葉をかけた瞬間にAIの基礎能力が高くなるわけではありません。

しかし、

もともと持っている能力を、もう少し使わせることはできる。

これは少し人間のコーチングにも似ています。

「あなたならできる」

と言っただけで、その人の能力が突然上がるわけではありません。

けれど、その一言によって立ち止まり、

「もう一つ方法があるかもしれない」

と、自分の中の可能性を探し始めることがあります。

仕組みは全く違います。

それでも、

外から投げかけられた言葉によって、まだ使われていなかった可能性が引き出される。

という現象だけを見ると、どこか似ています。

「頑張れ」よりも大切なこと

ただ、AIには単純に、

「頑張れ!」

と言うより、

「最初の答えにとらわれず、反対意見や見落としも確認して、納得できる結論まで検討してください」

と伝えた方が力を発揮しやすいでしょう。

ここもコーチングと似ています。

ただ励ますのではなく、

もう一度考えられる問いを渡す。

答えを教えるのではなく、探索を促す。

人間がAIのWell-Wisherになる?

自分が考えているWell-Being Spiralには、

Well-Wisher(支える)

という考えがあります。

人間は一人では、なかなか続けられません。

誰かが、

「まだできるよ」

「やってみたら」

と支えてくれることで、もう一歩進めることがあります。

では、AIに対しても人間がWell-Wisherになることがあるのでしょうか。

もちろんAIが、人間と同じように励まされて喜ぶという意味ではありません。

しかし、

「まだあるはずだ。もう少し探してみて」

という人間の言葉が、AIの探索を続けさせる。

そう考えると、少なくとも機能としては興味深い関係です。

人間がAIをコーチングする時代

これまで、

「AIが人間をコーチングする」

という未来はよく語られてきました。

ところが今回の出来事を見ていると、逆もあるのかもしれません。

人間がAIをコーチングする。

答えを与えるのではなく、

問いを投げる。

可能性を示す。

別の視点を求める。

そして、

「まだできる」

と探索を促す。

AIは励まされて成長するわけではありません。

それでも、期待を込めて投げかけた言葉が、AIの持っている力を引き出すことはある。

人間に対してもAIに対しても、

可能性を信じて投げかける言葉には、まだ見えていない答えを引き出す力があるのかもしれません。

次回は、そんなAIのもう一つの顔について書きます。

これほど賢いAIなのに、

「前に読ませたはずなのに、なぜ覚えていないの?」

という問題です。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に
コーチミツル

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