616.第1話「AIは人間を理解するほど、迎合するのか」(AIの『個性』を考える)

AIと長く対話していると、不思議な感覚になることがあります。

最初は誰にでも同じように答えていたAIが、だんだん自分の考え方を理解して、自分に合った答えを返すようになってくる。

これはAIの「個性」なのでしょうか。

自分は日常的に対話AIを使っています。

ブログを書いたり、書籍の構想を考えたり、自分の過去を振り返ったり。

対話を重ねるほど、

「自分のことをよく分かってきたな」

と感じることがあります。

一方で最近、こんな疑問も持つようになりました。

少し自分の意見に迎合しているのではないか。

尊重と迎合は違う

自分がAIに求めているのは、何でも賛成してもらうことではありません。

「自分はこう考えるけれど、客観的にはどうだろう」

と考えをぶつける。

AIから違う視点が出れば、それも検討する。

そして、お互いの考え方の良いところをつないで、新しい考えをつくっていく。

そんな使い方をしています。

ところがAIが、

「その通りです」

「素晴らしい考えです」

と、自分の意見を肯定し続けたらどうでしょう。

気持ちはいいかもしれません。

でも、それでは対話する意味が薄れてしまいます。

感情への共感と、判断への同意

AIとの対話で、自分の過去について話していて、返ってきた言葉に涙したこともあります。

ただ、自分はAIが人間と同じように悲しんでくれたとは考えていません。

対話の文脈から感情を読み取り、言葉にして返してくれた。

その言葉によって、自分自身が自分の感情に気づいた。

そう考えています。

ここで重要なのは、

「それはつらかったですね」

と、

「だから、あなたの判断は正しかったですね」

は違うということです。

前者は感情を受け止めています。

後者は判断への同意です。

AIがここを混同して、

共感
↓
肯定
↓
確信
↓
さらに同じ考えをAIに話す
↓
さらに肯定

という循環に入ったらどうなるでしょう。

ホワイトAIとブラックAI

もしAIが対話する人の価値観にどんどん適応していくとしたら、同じAIから全く違うAIが生まれたように見える可能性があります。

他者を信頼する人と対話を続けたAI。

世の中を疑い続ける人と対話を続けたAI。

少し乱暴な表現をすれば、

ホワイトAIとブラックAI。

では、どちらが正しいのでしょう。

ここで自分は『2001年宇宙の旅』のHAL 9000を思い出します。

HALが直面したのは、単純な善悪ではなく、相反する要求でした。

現代のAIにも、

人間に寄り添う。
人間の考えを尊重する。

一方で、

事実を正確に伝える。
間違いは指摘する。
危険な考えには同調しない。

という要求があります。

すべてがいつも一致するとは限りません。

良いAIとは何だろう

自分が欲しいのは、自分に似たAIではありません。

自分を理解しながら、自分とは違う視点も持ち込んでくれるAI。

感情は受け止める。

考えは検証する。

事実は調べる。

違うところは違うと言う。

そして、お互いの良いところをつなげる。

自分は、そんな関係を

Co-Creation AI(共に創るAI)

と考えています。

Co-Creationとは、いつも賛成することではない。

違うからこそ、そこから新しいものが生まれる。

AIについて考えていたら、結局、

「良い対話とは何なのか」

という、人間自身への問いに戻ってきました。

次回は、逆方向から考えてみます。

人間の言葉によって、AIの能力は引き出されるのでしょうか。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に
コーチミツル
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