
私たちは何かを始めるとき、そこには必ず「きっかけ」があります。
それは偶然のようでいて、実は心の準備が整ったときにだけ現れるもの。
今回は、自分が自然栽培やコーチングに出会った「きっかけ」から、「アンテナを立てること」の大切さについて綴ってみたいと思います。
草だらけの畑と、自然栽培という気づき
数年前から畑で野菜を育てています。
でも正直なところ、自分はこまめに草を取れるタイプではありません。
毎年草だらけになり、「手入れが行き届いていないな」とどこか恥ずかしい思いをしていました。
ところがあるとき、「自然栽培」という言葉に出会いました。
農薬も肥料も使わず、草や虫も敵にしない。草が生えていることは、実は“土が健康である証拠”であるという考え方。
「今まで自分がやってきたことは、間違いじゃなかったんだ」と、驚きとともに心が軽くなりました。
自然栽培の提唱者である川口由一氏は、著書の中で「草や虫を敵とせず、共に生きることが自然の摂理に沿った農である」と述べています(※『自然農から自然の暮らしへ』より)。
この考え方に出会ったことで、「ありのままの自分」を受け入れる感覚も芽生えました。
新聞一面から飛び込んできた、コーチングという言葉
もうひとつ、人生の分岐点となった「きっかけ」があります。
それは、ある日の新聞広告でした。
当時、職場で部下の育成に悩んでいました。
こちらがどれだけ丁寧に伝えても、なかなか相手が動かない。
自分のやり方に限界を感じ、「どうしたら人が自ら動くようになるのだろう」と頭を抱えていました。
そんな時に、朝刊を開くと、一面全体に大きく掲載されたコーチングファームの広告が目に入りました。
「人を動かすコミュニケーションとは」「指示命令の限界」「答えは相手の中にある」――。
まさに今、自分が欲していた言葉が、そこには詰まっていました。
今思えば、それは偶然ではなく、「心のアンテナ」が立っていたからこそ目に留まったのだと思います。
心理学でいう「カラーバス効果」とも関連します。これは、自分が意識を向けているものに対して、脳が優先的に情報を拾い上げる現象です。
また、脳幹にある「網様体賦活系(RAS)」は、数多ある情報の中から、自分にとって重要な情報だけを選択的に取り込むフィルターの役割を果たしていると言われています(※Hawkins, 2004)。
つまり、人は「欲しい情報」をキャッチする準備が整ったときにだけ、その情報に気づけるのです。

アンテナが立つと、世界が変わって見える
きっかけは、ただ目の前にあるだけではなく、「見ようとしたときに初めて見えるもの」でもあります。
自然栽培にしても、コーチングにしても、自分の中に「問い」や「違和感」があったからこそ、その情報が飛び込んできました。
人は、感情が動いたときにこそ学びや変化が生まれると言われています(※Kolbの経験学習モデル)。
悩みの中にいるときこそ、新しい何かを受け取る準備が整っているのかもしれません。
そして、いったんアンテナが立つと、その分野に関する情報がどんどん入ってくる。
それは、まるで自分の中にチャンネルが開いたような感覚です。
そこから新しい道が始まっていく。
まさに、「きっかけ」は人生の流れを変える“種”なのだと思います。
畑の草の中に、新聞の中に、
自分の人生を変える「きっかけ」は潜んでいました。
それは偶然のように見えて、実は心が準備をしていたからこそ現れた“必然”。
あなたの周りにも、今この瞬間、小さな「きっかけ」が眠っているかもしれません。
もし何かが気になったら、どうか立ち止まって耳を澄ましてみてください。
それが、新しい一歩の始まりになるかもしれません。
今日も佳き日に
コーチミツル
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