638.フレネミー (表と裏、その違いはどこにある?)

最近、「フレネミー」という言葉を知りました。

フレンド(friend=友人)と、エネミー(enemy=敵)。

二つを組み合わせた言葉です。

調べてみると、

「友達の顔をした敵」

といった意味で使われているそうです。

表面上は親しげなのに、陰では悪口を言ったり、相手の失敗を喜んだり、ときには足を引っ張ったりする。

なんとも穏やかではありません。

でも、この言葉について考えているうちに、少し疑問が湧いてきました。

自分たちも、心の中で思っていることと、表に出す態度が違うことはあります。

では、それもフレネミーなのでしょうか。

考えていくと、どうも違う気がします。

その違いは、案外シンプルなのかもしれません。

悪意があるか、ないか。

今回は、そんな「表と裏」について考えてみました。

「友の顔をした敵」は昔からいた?

「フレネミー」という響きから、最近できた言葉のように感じます。

ところが調べてみると、意外にもかなり古くからある言葉だそうです。

「frenemy」の古い使用例は1891年までさかのぼります。

さらに英語には「backfriend」という古い言葉もあり、

「表面上は友人だが、ひそかに敵である人」

といった意味で、こちらは15世紀から使われていたとされています。

どうやら「友の顔をした敵」に悩まされてきたのは、現代人だけではないようです。

考えてみれば、日本の歴史にも似たような話があります。

戦国時代なら「謀反」?

戦国時代のドラマを見ていると、

「殿! 一生お仕えいたします!」

と言っていた家臣が……

最後に、

「まさか、お前が!」

となることがあります。

現代風に言えば、究極のフレネミーでしょうか。

この場合は分かりやすい。

表では味方の顔をしている。

でも裏では、相手を陥れようとしている。

つまり問題なのは、

表と裏が違うことだけではありません。

その裏側に、

相手を傷つけたり、陥れたり、不利益を与えようとする意図がある。

そこが大きいのでしょう。

苦手な人にも笑顔で接するのは?

では、日常生活ではどうでしょう。

少し苦手な人がいる。

でも、

「おはようございます」

と挨拶する。

普通に話をする。

仕事なら必要な協力もする。

心の中では、

「ちょっと合わないなあ」

と思っている。

確かに、心の中と表に出しているものは同じではありません。

でも、そこに悪意があるでしょうか。

むしろ、

相手を傷つけないための配慮や礼儀

とも言えます。

もし、

「心と態度は常に一致していなければならない!」

となったら、

「あなたが苦手なので、本日の挨拶は省略いたします」

なんてことになりかねません。

毎朝、なかなか大変です(笑)。

人間には感情があります。

好きな人もいれば、苦手な人もいる。

それでも相手を尊重して接することはできます。

表と裏が違うことと、裏で相手を傷つけようとすることは別です。

「悪意」が境目なのかもしれない

では、こんな場合はどうでしょう。

表では、

「応援しています」

「あなたの味方です」

と言っている。

ところが裏では、

「あの人、失敗すればいいのに」

と願っている。

さらに、失敗するように何かを仕向けたり、評価が下がるように動いたりする。

ここまでくると話が変わります。

単に「好きではない」という感情ではなく、

相手に不利益が生じることを望んだり、そのために行動したりしている。

フレネミーの「エネミー」の部分は、そこにあるのでしょう。

ただし、悪意というものは案外ややこしいものです。

本人には、

「相手を陥れてやろう」

という強い自覚がないこともあるかもしれません。

嫉妬。

競争心。

自分を守りたい気持ち。

そんな感情から、相手の失敗を少し喜んでしまうこともある。

だから、

「あの人には悪意がある」

と他人を簡単に決めつけるのも違う気がします。

他人の心の中までは分かりませんから。

他人より、自分の「裏側」を見てみる

そう考えると、「フレネミー」という言葉は、

「あの人はフレネミーだ」

と誰かを分類するために使うより、

自分自身を振り返る言葉

として使うほうが面白いのかもしれません。

苦手な人に礼儀正しく接する。

それはいい。

無理に好きになる必要もない。

距離を置くことだってあります。

でも、

相手の失敗を願っていないだろうか。

見えないところで評価を下げようとしていないだろうか。

「味方ですよ」という顔をしながら、反対のことをしていないだろうか。

そこは、ときどき自分にも問いかけてみたいところです。

表と裏が違うことより、その裏側に何があるのか

人間には、いろいろな顔があります。

家族に見せる顔。

仕事で見せる顔。

友人に見せる顔。

一人でいるときの顔。

全部同じでなくてもいいのでしょう。

苦手な人にも挨拶する。

腹が立っていても、必要な協力はする。

それは「裏表がある」というより、

社会の中で人と一緒に生きていくための節度

なのだと思います。

だから大切なのは、

表と裏が違うことより、その裏側に何があるのか。

相手を尊重しようという気持ちなのか。

それとも、相手を傷つけたり、陥れたりしたいという気持ちなのか。

「フレネミー」という言葉を知って、

人間関係の表と裏について考えてみましたが、

結局たどり着いたのは、とてもシンプルなところでした。

悪意があるか、ないか。

そしてそれは、他人を見極めるためだけではなく、

自分自身にも、ときどき問いかけてみる。

戦国時代なら、

「おぬしだったのか!」

もドラマになります。

でも日常生活では、できれば言うことも、言われることもなく(笑)。

人の表と裏を見るよりも、

自分の裏側に何があるのか。

まずはそこからなのかもしれません。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に

コーチミツル

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参考・出典

・Merriam-Webster「Backfriend」
「backfriend」の意味と、15世紀から使用例が確認されていることを参照。

・Merriam-Webster「Word Matters: What does the date in a dictionary entry mean?」
「frenemy」の現在確認されている最古の使用例が1891年であることを参照。

・TBSテレビ 日曜劇場『VIVANT』公式サイト
『VIVANT』の別班・潜入に関する設定を参照。


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