
何か大きなことをしようとするとき、「覚悟を決める」という言葉を使うことがあります。
仕事を変える。
新しいことに挑戦する。
目標を決める。
これまでとは違う道を歩き始める。
特に今のビジネスの世界では、「コミットメント」という言葉をよく耳にします。
「これを達成します」
「ここまでやります」
自分の意思や目標を言葉にして、周囲にも伝える。
人に伝えることで自分自身を奮い立たせたり、簡単には後戻りしない環境をつくったりすることもできます。
これも、一つの覚悟の形だと思います。
でも最近、自分はもう一つの覚悟について考えるようになりました。
「静かな覚悟」です。
言わなくても、もう決まっている
静かな覚悟とは、誰にも言わず秘密にしておくことではないと思います。
後になって話してもいい。
大切なのは、その覚悟が生まれたときに、誰かの承認や評価がなくても、
「自分の中では、もう決まっている」
ということなのではないでしょうか。
だから、大きな宣言をしなくても行動が少しずつ変わっていく。
必要なことを学び始める。
準備を始める。
時間の使い方が変わる。
会う人が変わる。
続けることが変わる。
周囲から見れば、昨日までとそれほど変わっていない。
でも本人の中では、もう何かが始まっている。
港を出る二隻の船
こんな光景を想像しました。
これから大海原へ向かう二隻の船があります。
一人の船長は港にいる人たちに、
「自分は、あの海へ行く!」
と高らかに宣言する。
みんなに見送られながら、力強く船を出す。
もう一人の船長は、何も言わない。
まだ薄暗いうちに船へ行く。
帆を整える。
荷物を確かめる。
海の様子を見る。
そして、静かにロープをほどく。
どちらが正しいという話ではありません。
どちらにも覚悟がある。
ただ、
覚悟には、声になるものと、声にならないものがある。
そんな気がするのです。
山中鹿介の「七難八苦」
自分の住む山陰には、山中鹿介(山中幸盛)という戦国武将がいました。
尼子氏の再興に生涯をかけた人物として知られています。
鹿介には、三日月に向かって、
「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」
と祈ったという有名な逸話が伝えられています。
後世の史料を通して伝わった話ですから、その場面や言葉をそのまま史実として断定することには慎重さが必要でしょう。
それでも、この逸話が長く語り継がれてきたことに、自分は惹かれます。
「成功させてください」
ではないのです。
自分が進もうとする道に困難があるのなら、
それも含めて引き受けよう。
そんな覚悟のように感じます。
そして何百年も経った今、自分たちはその覚悟を知っています。
そう考えると、静かな覚悟とは「永遠に誰にも言わないこと」ではないのでしょう。
そのとき自分の内側にあったものが、行動や生き方として表れ、後になって誰かに伝わる。
「あの時には、もう覚悟していたんだ」
後からそう分かる覚悟もあるのだと思います。
赤い炎から、青い炎へ
覚悟という言葉から、自分はこれまで赤々と燃える炎を思い浮かべていました。
「やってやるぞ」
「絶対に成し遂げる」
そんな外へ向かって燃え上がる情熱です。
それも大切です。
自分自身、そんな炎に背中を押されてきたことが何度もあります。
ところが今回、「静かな覚悟」について考えていると、なぜか浮かんできたのは赤ではありませんでした。
青い炎でした。
赤々と大きく燃え上がるのではなく、静かに青く燃えている。
目立たない。
でも、消えてはいない。
むしろ、その奥にしっかりとした熱がある。
誰かに見てもらうためではなく、
自分が進む道を照らすために燃えている炎。
そんな感じがしました。
そういえば、青いものが増えている
最近、自分の身の回りに青いグッズが増えているのです。
もちろん、単純に色の好みが変わっただけかもしれません。
色だけで人の心理を決めつけるつもりもありません。
でも、「静かな覚悟」について考えていて青い炎が浮かんだとき、なぜかそのことを思い出しました。
もしかすると、自分自身の燃え方も少し変わってきたのかもしれません。
昔のように、
「やってやるぞ」
と外へ向かって赤く燃え上がるだけではなく、
誰にも見えなくてもいいから、自分の中で静かに燃え続ける。
情熱がなくなったのではなく、燃え方が変わった。
そんなふうに考えると、最近なぜ青に惹かれるのかも、少し面白く感じます。
宣言より先に、行動が語り始める
コミットメントして力が湧く人もいます。
人に宣言することで、一歩を踏み出せることもあります。
だから、声に出す覚悟と静かな覚悟のどちらが強い、ということではありません。
ただ、静かな覚悟には一つ特徴があるような気がします。
気がつけば準備している。
気がつけば学んでいる。
気がつけば続けている。
そして、あるところまで来てから、
「あの頃には、もう決めていました」
と話す。
それも一つの覚悟の形なのだと思います。
自分にも今、静かな覚悟がある
実は今、自分にも一つ、静かな覚悟があります。
別に秘密にしているわけではありません。
いつか話してもいい。
むしろ、いつかこのブログを読み返しながら、
「あの時書いていた静かな覚悟とは、このことだったんです」
と書ける日が来たら面白いと思います。
今は、大きな声で宣言するよりも、できることを一つずつやっていく。
帆を整える。
必要なものを船に積む。
海を見ながら、出航の時を待つ。
そして時が来たら、静かにロープをほどけばいい。
静かな覚悟は、小さな覚悟ではない。
声にならなくても、人を動かし続ける力がある。
そして最近、自分の身の回りに青いものが増えてきたように、
自分の中の炎も、消えたのではなく、色が変わってきたのかもしれません。
赤い炎から、青い炎へ。
静かに。
でも、確かに燃えながら。
この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・
今日も佳き日に
コーチミツル
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