639.世界に猫じゃらしを増やそう ― 好奇心とInner Will

自分は、かなり好奇心旺盛な方だと思います。

何かを見たり聞いたりすると、

「なんでそうなるんだろう?」

「本当かな?」

「どうなっているんだろう?」

と気になります。

そして、ときには、

「自分で確かめてみたい」

とまで思ってしまいます。

考えてみると、これは昔からです。

なぜ自分は、こんなに「?」に反応するのでしょう。

今回は、自分のそんな性分から「好奇心」について考えてみました。

見たい、触りたい、押してみたい

自分は目新しいものを見つけると、ついつい欲しくなります。

写真で見ただけでは、

「実物を見てみたい」

と思う。

実物を見ると、

「触ってみたい」

となる。

これが物だけならまだいいのですが、ソフトやアプリでも同じです。

見たことのないボタンがあると、

「これ、押したらどうなるんだろう?」

と気になります。

そして、押して確かめたくなる(笑)。

説明書を最初から最後まで読んで理解してから使うというより、まず触ってみて、

「ああ、こうなるのか」

と知ることが好きなのかもしれません。

新しい機能が出れば試してみたい。

新しい道具を見れば実物を見たい。

そして、ときどき欲しくなる。

好奇心のおかげで新しい世界に出会える一方、財布にとっては少々困った性分でもあります(笑)。

「知りたい」より「確かめたい」

こうして振り返ると、自分の好奇心には一つ特徴がありそうです。

単に、

「知りたい」

だけではなく、

「自分で確かめたい」

のです。

見る。

触る。

押してみる。

やってみる。

そして、

「なるほど、こうなるのか」

を自分で経験したい。

そう考えると、思い当たる出来事があります。

「本当に二酸化炭素を吸収するの?」

以前のブログで、20年ほど前に作った「コンパクトインパクトボックス」について書きました。

植物は光合成によって二酸化炭素を取り込み、酸素を出す。

学校でも習うことです。

でも自分は、

「本当に二酸化炭素を吸収しているの?」

と思いました。

そして、

「だったら、それを目に見えるようにできないだろうか?」

と考えました。

知識として「そうなんだ」で終わらず、実際に確かめてみたくなったのです。

そこで装置を作りました。

それが出前授業につながり、成果事例発表で最優秀賞をいただき、さらに特許出願にまで発展しました。

以前の記事では、この出来事を「見えないものを形にしたい」という自分のInner Willとの関係から振り返りました。

でも今回あらためて考えると、そのもっと手前に、

「本当? 確かめてみたい」

という好奇心があったのだと思います。

好奇心にもいろいろある

そこで、好奇心について少し調べてみました。

心理学では、好奇心を一つの性質だけで捉えているわけではないようです。

好奇心を多面的に捉えた研究では、その一つとして、

Joyous Exploration(探究の喜び)

があります。

新しい知識や経験に触れ、探索することそのものを楽しむ好奇心です。

もう一つが、

Deprivation Sensitivity(欠乏の感受性)。

「分からない」という知識の隙間が気になり、その答えを知りたくなる好奇心です。

なるほど。

自分には、どちらもありそうです。

「知らないことを知るのが面白い」

と同時に、

「分からないままでは気になる」

そして自分の場合、そこから、

「じゃあ、やってみよう」

まで行きやすいようです。

好奇心旺盛な人は、どこか若い?

もう一つ、自分が以前から感じていることがあります。

実際の年齢とは別に、

「この人、若いなあ」

と感じる人がいます。

そんな人を思い浮かべると、好奇心旺盛な人が多いように感じます。

「それ何?」

「面白そう!」

「やってみたい!」

新しいものに出会ったとき、目がちょっと輝く。

もちろん、

「好奇心旺盛だから若く見える」

と科学的に証明されているわけではありません。

これは、自分が人を見ていて感じていることです。

でも、年齢と好奇心について調べてみると、面白い研究があります。

歳を取ると、好奇心はなくなる?

2025年に発表された成人1,218人を含む研究では、性格傾向としての「特性的好奇心」は年齢が高くなるにつれて低くなる傾向がみられました。

ところが、

「今、この答えを知りたい」

という、その瞬間に生まれる「状態的好奇心」は、年齢と正の関連を示しました。

つまり、

「歳を取れば好奇心もなくなる」

と単純には言えないようなのです。

歳を重ねても、

「これは知りたい」

「これは面白そう」

という気持ちは動く。

身体は歳を重ねても、「ん?」と反応する力まで一緒に歳を取らせる必要はないのかもしれません。

好奇心と健康にも関係が?

さらに興味深い研究があります。

平均70.6歳の男性1,118人を5年間追跡した研究では、調査開始時に好奇心が高かった人ほど、その後生存している傾向がみられました。

平均68.6歳の女性1,035人を調べた分析でも、同様の傾向が確認されています。

もちろん、

「好奇心旺盛なら長生きする」

という意味ではありません。

好奇心と生存との「関連」が示されたということです。

また、日常生活を21日間調べた研究では、好奇心が高い日は、幸福感や身体活動も高く、抑うつ気分は低い傾向が報告されています。

元気だから好奇心が湧くのか。

好奇心があるから身体が動くのか。

あるいは、その両方なのか。

一方向ではなく、お互いが影響しながら回っているのかもしれません。

そう考えると、ここにも一つのスパイラルがありそうです。

世界は「猫じゃらし」だらけ

好奇心について考えていたら、「猫じゃらし」が浮かびました。

猫の前で猫じゃらしを動かすと、

「ん?」

と目が向きます。

気になったら近づく。

そして、手を出す。

人間の好奇心も少し似ているように思います。

「何だろう?」

「面白そう」

「本当かな?」

「触ってみたい」

「やってみたい」

自分たちの周りには、そんな「猫じゃらし」がたくさんあります。

音楽。

植物。

生き物。

料理。

旅。

AI。

知らない言葉。

新しい道具。

人との出会い。

でも、同じものを見ても、誰もが同じように反応するわけではありません。

ある人には何でもないものが、別の人には、

「ん?」

となる。

もしかすると好奇心旺盛な人というのは、

日常の中にある「猫じゃらし」を見つけるのが得意な人

なのかもしれません。

猫じゃらしを一つ追うと、また一つ現れる

しかも、一つの猫じゃらしを追いかけてみると、その先にまた別の猫じゃらしが現れます。

「なんで?」

と思って調べる。

少し分かる。

すると、

「じゃあ、これはどうなんだ?」

という次の疑問が出てくる。

実際にやってみる。

うまくいかない。

すると今度は、

「なんで、うまくいかないんだろう?」

が始まる。

好奇心があるから動く。
動くから新しいものに出会う。
新しいものに出会うから、また好奇心が動く。

好奇心そのものも、スパイラルしているようです。

猫じゃらしの先にInner Will

ここで、自分が考えている「Inner Will」とつながってきます。

ただし、

好奇心=Inner Will

ではないと思っています。

「面白そう!」

と思ってやってみたけれど、

「これは違ったな」

で終わることもあります。

買ってみたものの、

「別にいらなかったな」

ということだってあります(笑)。

それでいい。

猫だって、すべての猫じゃらしを一生追い続けるわけではありません。

でも、いろいろな猫じゃらしに反応して、近づいて、触ってみる。

すると、その中に、

「これは、もっとやりたい」

「もっと知りたい」

「なぜか、また戻ってきてしまう」

「うまくいかなくても、やめたくない」

というものが現れることがあります。

そこまで来ると、単なる一時的な好奇心とは少し違う。

自分の内側にある何かが反応している。

それがInner Willにつながっているのかもしれません。

好奇心はInner Willを見つけるセンサー?

そう考えると、自分には一つの仮説が浮かびます。

好奇心は、Inner Willを見つけるためのセンサーなのではないか。

光合成は、自分にとって一つの「猫じゃらし」でした。

「本当に?」

「見てみたい」

「確かめてみたい」

と追いかけていった。

でも、その先で見えてきたのは、光合成の仕組みだけではありませんでした。

「見えないものを見えるようにしたい」

「分かりにくいものを、分かる形にして伝えたい」

そんな自分自身にも出会いました。

好奇心がなければ、そこまでたどり着かなかったかもしれません。

世界に猫じゃらしを増やそう

世界そのものは、昨日と今日でそれほど変わっていないかもしれません。

でも、

「なんで?」

「面白そう!」

「本当かな?」

「触ってみたい」

「やってみたい!」

というアンテナを立てると、昨日まで背景だったものが突然「猫じゃらし」になります。

好奇心があると、世界に猫じゃらしが増える。

その一つに、ちょっと手を伸ばしてみる。

違ったら、やめればいい。

また別の猫じゃらしを追いかければいい。

でも、その中に、

「なぜか、これは離したくない」

というものがあるかもしれません。

そこには、自分でもまだ気づいていないInner Willが隠れているかもしれないのです。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に
コーチミツル

#好奇心 #InnerWill #WellBeingSpiral #人生を楽しむ

【関連記事】

590.コンパクトインパクトボックス
― 見えないものを形にした大人の夏休み研究
https://coach-mitsuru.com/archives/6191

【参考文献・出典】

・Kashdan, T. B. et al. (2018). The Five-Dimensional Curiosity Scale: Capturing the bandwidth of curiosity and identifying four unique subgroups of curious people. Journal of Research in Personality, 73, 130–149.

・Swan, G. E. & Carmelli, D. (1996). Curiosity and mortality in aging adults: A 5-year follow-up of the Western Collaborative Group Study. Psychology and Aging, 11(3), 449–453.

・Lydon-Staley, D. M. et al. (2020). Within-person variability in curiosity during daily life and associations with well-being. Journal of Personality.

・Hirsch, M. E. et al. (2025). Curiosity across the adult lifespan: Age-related differences in state and trait curiosity.


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