175.旧暦に息づく「本当の端午の節句」〜チマキと古き良き習わしの意味を考える〜

昨日、親戚のおばちゃんから、手作りのチマキをいただきました。新暦の端午の節句である5月5日から1ヶ月も経ったこの時期にいただくチマキに、「そういえば、自分が子供の頃はこの時期に端午の節句を祝っていたよな」と、ふと思い出したんです。

今では、端午の節句と言えば5月5日がすっかり定着しましたよね。でも、お店に並ぶ鯉のぼりや五月人形を見ていると、なんだか商業的な側面が強く、本来の意味合いがちょっと薄れてしまっているように感じることもあります。そんな中、おばちゃんからいただいたチマキは、私たちに「本当の端午の節句って、どんなものだったんだろう?」と、優しく問いかけてくれているようでした。

今回は、旧暦の端午の節句にそっと焦点を当てて、その歴史や、今の時代にまで受け継がれている意味について、考えてみたいと思います。

旧暦の端午の節句はいつ?そのあたたかい歴史を紐解く

現代では新暦の5月5日とされている端午の節句ですが、もともとは旧暦の5月5日でした。旧暦は月の満ち欠けを基準にするので、毎年新暦に換算すると日付が変わるんです。おばちゃんがチマキをくださったのは、まさにこの時期。昔ながらの風習を大切にされているおばちゃんの心遣いに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

端午の節句の始まりは中国にあります。邪気を払う行事として日本に伝わり、奈良時代にはすでに宮中の大切な行事として取り入れられていたと言われています。菖蒲(しょうぶ)やよもぎを飾って悪いものを避け、薬草の力で健康を願うことが中心だったんですね。

また、一般的に、日本のチマキでよく使われるのは、笹の葉竹の皮です。特に笹の葉は、その爽やかな香りが移って風味を増したり、抗菌作用があるため保存性を高めたりする役割も持っています。

昔は、チマキという名前の由来にもなった茅(ちがや)の葉が使われていたとも言われています。茅は神聖な植物とされていて、邪気を払う意味合いもあったようです。その他にも、地域によってはワラ真菰(マコモ)の葉などが使われることもありました。

それが武士の時代になると、「菖蒲(しょうぶ)」が「尚武(しょうぶ)」に通じることから、男の子の健やかな成長を願う行事へと姿を変えていきました。鎧兜や五月人形を飾り、鯉のぼりを立てるなど、今につながる風習が少しずつ形作られていったんです。


なぜ新暦へ移ったの?それでも残る旧暦のやさしい習わし

明治時代に新しい暦(新暦)が採用されて以来、多くの年中行事が新暦へと移っていきました。端午の節句もその一つで、一般的には5月5日に行われるようになりましたね。新暦への移行は、西洋の文化を取り入れたり、国を近代化していく中で、自然な流れだったのかもしれません。

でも、地域によっては、今でも旧暦で端午の節句をお祝いする風習が大切に受け継がれています。私の親戚のように、手作りのチマキをこの時期にいただくのもその一つでしょう。こういった地域では、昔ながらの暮らしのリズムや自然の移り変わりを大切にされていて、新暦とはまた違う季節感を味わえるのが素敵ですね。

新暦の5月5日は、ちょうどゴールデンウィークと重なることもあり、子どもの日として華やかに祝われることが多いですよね。一方で、旧暦の端午の節句は、梅雨入り前のさわやかな時期に行われることが多く、本来の「邪気払い」や「健康祈願」といった、より深い意味合いを静かに感じられる気がします。


チマキと古き良き習わしが、今私たちに伝えるあたたかい意味

おばちゃんが心を込めて作ってくれたチマキは、ただの食べ物ではありません。そこには、手間暇を惜しまず、家族の健康を願う温かい気持ち、そして古くからの習わしを大切にする心が、ぎゅっと詰まっています。

今の社会では、効率の良さや便利さが求められ、昔ながらの年中行事が簡単に済まされたり、形だけになってしまったりすることも少なくありません。特に商業的なものに流されて、本来の意味が見えにくくなってしまうことも、時々ありますよね。

でも、旧暦の端午の節句をお祝いする人々や、手作りのチマキを贈ってくれるおばちゃんのような存在は、私たちにとても大切なメッセージを贈ってくれています。それは、

  • 自然のリズムに寄り添って暮らすことの尊さ
  • 手間をかけることの、じんわりとした豊かさ
  • 家族や地域との繋がりを、あたたかく育むことの大切さ
  • 商業的なものに惑わされず、本当に大切な意味を考える心

これらは、今の時代を生きる私たちにとって、もしかしたら忘れかけているけれど、かけがえのない大切なことばかりですよね。


古き良き知恵を、やさしく未来へ繋いでいくために

おばちゃんからいただいたチマキは、私にたくさんのあたたかい気づきを与えてくれました。旧暦の端午の節句は、単なる昔の風習ではなく、今の私たちに、心豊かな暮らしのヒントをくれる、古き良き知恵の結晶だと感じています。

これからも、こうした昔ながらの習わしに触れる機会を大切にして、その意味を深く考えていくことで、日々の暮らしをより豊かにしていきたいですね。そして、次の世代にも、形だけではない「本当の節句の意味」を、優しく伝えていけたらと願っています。

今日も佳き日に

コーチミツル

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