649.「なんかイライラしてる?」は逆効果? (不機嫌な人との話し方を考えてみた)

以前、このブログで「不機嫌」「ご機嫌」、そして「素機嫌」について書きました。

537.“ご機嫌”でも“不機嫌”でもない、“素機嫌”という感覚(無理して笑わない、自分らしい在り方)

不機嫌な人がいると、ついその場を何とかしようとしてしまう。

逆に、自分が「ご機嫌」でいようと頑張りすぎても疲れてしまう。

だから、どちらでもない「素機嫌」でいる。

そんなことを書きました。

では、実際の場面ではどうでしょう。

こちらは普通に話しているのに、相手の返事が妙に強い。

何を言っても、

「いや、それは違う」

「でも」

「普通はそうじゃないでしょう」

と、否定から入ってくる。

明らかにいつもと違う。

そんなとき、自分なら割と率直に、

「なんかイライラしてる?」

と聞いてしまいそうです。

でも、これって効果があるのでしょうか。

気になったので、少し調べてみました。

「イライラしてる?」と言われたら

心理学には「感情ラベリング(affect labeling)」という研究があります。

自分の中に起きている感情を「怒っている」「不安だ」「悲しい」などと言葉にすることです。

2007年のLiebermanらの研究では、感情を言葉でラベル付けすると、ネガティブな感情刺激に対する扁桃体などの反応が低下することが示されています。

つまり、

「自分はいま怒っているんだな」

と言葉にすることには、感情を整理する働きがある可能性があります。

ただし、ここで注意したいことがあります。

これは、

「怒っている本人が、自分の感情を言葉にする」

ことについての研究です。

こちらから相手に、

「あなた、イライラしてるよね」

と決めつければ、同じ効果があるという話ではありません。

考えてみれば、

「あなた、怒ってるでしょう」

と言われて、

「はい、その通りです」

となる人ばかりではありません。

「別に怒ってない!」

と、余計に怒らせてしまうこともありそうです(笑)。

感情ではなく、「自分が感じたこと」を伝える

では、どう言えばいいのでしょう。

対立場面でのコミュニケーションを調べた研究では、

「あなたは〇〇だ」

というYouメッセージより、

「自分は〇〇と感じている」

というI(アイ)メッセージの方が、防衛的な反応を起こしにくいことが示されています。

さらに、自分の視点だけでなく、相手の視点も認めながら話す方が、敵意を感じさせにくかったそうです。

だとすると、

「なんかイライラしてる?」

より、

「今日はいつもより少し話し方が強く感じるけど、何か気になることある?」

くらいの方がよいのかもしれません。

似ていますが、ずいぶん違います。

「あなたはイライラしている」

と相手の感情を決めつけるのではなく、

「自分にはそう感じられる」

と伝える。

そして、相手に答える余地を残す。

コーチングでも、相手の中で起きていることをこちらが勝手に決めないことは大切です。

理解することと、引き受けることは違う

もし、

「実は朝からこんなことがあって……」

と相手が話してくれたら、

「そうだったのか」

と理解できます。

人間は感情の生き物です。

仕事のことかもしれません。

家庭のことかもしれません。

体調が悪いのかもしれません。

もちろん、自分の言動に原因があるのかもしれません。

実際、感情を否定するよりも、相手の感情を認める「validation(妥当性を認めること)」の方が、特に感情調整が難しい人では攻撃的な反応を抑えたという実験研究もあります。

だから、

「そんなことで怒るなよ」

ではなく、

「そう感じていることは分かった」

でいい。

ただし、ここからが大切だと思います。

相手の感情を理解することと、相手の感情を引き受けることは違います。

「そうだったのか」

と理解するところまではできる。

でも、その人の機嫌を直すところまで、自分の仕事にしなくてもいい。

否定から入る人にはどうするか

もう一つ、難しいのが、

「いや」

「でも」

「それは違う」

と、いつも否定から入る人です。

以前の自分なら、

「ちゃんと説明すれば分かってもらえる」

と思って、さらに説明したかもしれません。

説明する。

また否定される。

もっと説明する。

また否定される。

気がつけば、こちらが必死になっています。

でも、ここにも一つ落とし穴があるように思います。

相手が否定するたびに自分が反応していると、いつの間にか会話の主導権を相手に渡しているのではないでしょうか。

全部のボールを打ち返さなくてもいい。

「そういう考え方もありますね」

「自分はこう考えています」

それで終わってもいい。

相手を納得させることと、自分の考えを伝えることは別です。

自分に原因があるなら修正する

もちろん、

「相手の機嫌は相手のもの」

と言ってしまえば、何でも相手の責任にできてしまいます。

それも違うと思います。

相手の様子が変わったら、

「自分の言い方に何かあったかな」

と振り返る。

必要なら、

「自分の言い方で気になるところがあった?」

と聞いてみる。

自分に非があれば謝る。

間違っていたら修正する。

ここまでは自分の責任です。

でも、自分にできることをした後まで、相手の機嫌を背負う必要はありません。

気がつくと、コントロールされている

不機嫌な人がいる。

すると周囲は、

「今日は機嫌が悪そうだから、これを言うのはやめておこう」

「怒らせないようにしよう」

「こちらが折れた方が早い」

と考え始めます。

もちろん、それが必要な場面もあります。

でも、それがいつも続くようになるとどうでしょう。

相手が声を荒らげる。

こちらが引く。

相手が不機嫌になる。

こちらが気を遣う。

相手が否定する。

こちらが説明を増やす。

これを繰り返していると、意図しているかどうかにかかわらず、結果として相手の感情によってこちらの行動が決められるようになります。

自分は、ここには気をつけたいと思っています。

相手をコントロールしない。

でも同じように、

相手の感情にも、自分をコントロールさせない。

自分のハンドルは、自分で持つ

人間ですから、不機嫌になることはあります。

自分だってあります。

イライラすることもあります。

だから、不機嫌な人を悪者にする必要はないと思います。

気づいたら尋ねる。

話してくれたら理解する。

自分に原因があれば修正する。

必要なことは伝える。

でも、相手の感情まで背負わない。

そして、会話にならないときは、少し距離を置くことも選択肢です。

前回、「素機嫌」ということを書きました。

今回調べながら考えてみると、素機嫌というのは、いつも穏やかでいることだけではないのかもしれません。

誰かが不機嫌でも、

誰かに否定されても、

そこに自分の感情まで全部持っていかれない。

相手のことは理解しようとする。でも、自分のハンドルは自分で持っておく。

そんなことも、「素機嫌」の一つなのかもしれません。

この言葉が、必要な人に、必要な時に、届きますように・・・

今日も佳き日に

コーチミツル

#人間関係 #不機嫌 #イライラ #コミュニケーション #感情 #素機嫌 #コーチング #自分軸 #心理学 #WellBeing #コーチミツル #WellLog


Coach Mitsuruをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!