
本性が出る瞬間は「脳の防衛反応」
「いざという時に本性が出る」と言われますが、
それは実は“脳の構造”によって自然に起こる防衛反応です。
人間の脳には、感情を司る扁桃体(へんとうたい)と、理性を司る前頭前野という2つの部位があります。
扁桃体は危険や怒りを感じると約12ミリ秒以内に反応し、身体を「闘う/逃げる/凍りつく」モードに切り替えます。
一方で、前頭前野がその感情を分析し、判断を下すには約40ミリ秒ほど遅れて反応すると言われています(LeDoux, 1996)。
つまり、
「腹が立って反射的に言い返す」よりも早く、
「怒りのスイッチ」はすでに押されているのです。
「待つ」ことで理性が追いつく
感情が生じるのは瞬間的ですが、理性が追いつくには少し時間がかかる。
だからこそ、意識的に“間”を置くことが有効です。
心理学者Jill Bolte Taylor博士は、感情の化学反応は90秒でピークを過ぎると述べています。
また、fMRI(脳画像)研究でも、感情を「観察」するだけで前頭前野が活性化し、扁桃体が静まることが示されています(Lieberman et al., 2007)。
💡 目安としては「5〜15秒」だけでも効果がある。
さらに落ち着きを取り戻すには「30秒〜90秒」が理想的。
「待つ」とは、怒りを抑え込むことではなく、理性に時間を与えること。
これが、感情の暴走を止める“脳のクールダウン”です。
頭に血が上ったときの具体的ステップ
- 身体のサインを察知する
顔が熱くなる、心拍が速くなる、声が荒くなる――これが“扁桃体スイッチON”の合図。 - 深呼吸して5〜10秒待つ
吸うよりもゆっくり吐くことを意識。副交感神経が優位になり、冷静さが戻る。 - 感情を言葉にして観察する(ラベリング)
「怒ってるな」「焦ってるな」と声に出すだけで、前頭前野が働き扁桃体が静まる(Lieberman, 2007)。 - 応答を遅らせる/場を離れる
すぐに反応せず、「5分後に話そう」「一度席を外そう」と“間”を作る。 - 落ち着いた後に振り返る
なぜスイッチが入ったのか、どこで止められたのかを内省する。
これを繰り返すことで「待つ力=理性の筋力」が育っていく。
おわりに
怒りや恐れは「自分を守るため」に出てくるもの。
だからこそ、それを責めるのではなく、扱い方を学ぶことが大切です。
扁桃体のスイッチを“無理に切る”のではなく、
「少し待てば理性が追いつく」と知っておくだけで、
人間関係の衝突や誤解はぐっと減っていきます。
あなたは、どんなときに感情のスイッチが入りやすいですか?
そして、今日からできる「待つための習慣」は何でしょう?
今日も佳き日に
コーチミツル
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