199.「勝ちか負けか、ではなく――“勝つか、学ぶか”という視点」


白黒では語れない人生の景色

世間では、「勝ち組・負け組」や「成功・失敗」といった白黒つける言葉があふれています。
まるで一度の試合、一度の結果で人生そのものが評価されてしまうかのようです。

でも、自分は思います。
人生はもっと長く、もっと複雑で、もっと優しいものだと。
勝ったと思った出来事が、後に重荷となることもあれば、失敗だと思っていた経験が、のちにかけがえのない糧となることもあります。


マイケル・ジョーダンの言葉:「勝つか、学ぶか」

自分が好きな言葉に、マイケル・ジョーダンのこんな言葉があります。

“I never lose. I either win or learn.”
「自分は決して負けない。勝つか、学ぶかだ。」

この言葉に出会ったとき、ふと肩の力が抜けたのを覚えています。
負けたっていい。失敗してもいい。
それは「学び」に変えられるのだから。


ラッパを吹く日々と“足の親指半分の前進”

自分は趣味でトランペットを吹いています。
人前で演奏しても、録音を聴き返しても、「満足した」と思ったことは一度もありません。
毎回何かしらの課題が見えて、「まだまだだ」と思う。

それでも、不思議と辞めたくはなりません。
少しずつでも確かに、進んでいる手応えがあるからです。

たとえるなら、足の親指半分くらいかそれよりも短いか。
ほんのわずかですが、それでもセッションに参加し続けることで、前に進んでいる気がしています。

この「ほんの少し」が、10年、20年たったとき、大きな意味を持つのかもしれません。

この感覚は、**ソリューションフォーカス(解決志向アプローチ)**でも語られています。
「理想に向けた小さな一歩(スモールステップ)」が未来を変えるきっかけになるとされ、
「たった1%でも変化があれば、それを強化していくことが大切」だという考え方です。

“うまくいっていることを見つけて、それを増やす”――
自分がラッパで感じる“親指半分の進歩”も、まさにその一歩だと実感しています。


成長は直線ではなく、螺旋(らせん)である

心理学の分野でも、成長とは一方向の直線的なものではなく、**「螺旋的に進む」**とされます。
たとえば、発達心理学者のジャン・ピアジェは、子どもの発達を段階的かつ反復的に進むものと捉えました。

これは大人の学びや成長にも当てはまります。
同じ課題に繰り返し向き合い、少しずつ理解が深まり、ある日「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちる。
それは、まるでらせん階段を登っているような感覚です。


「勝つか学ぶか」の考え方を選ぶ

「勝つ」ことを目指すのは、決して悪いことではありません。
でも、それだけに縛られると、人生の豊かさを見失ってしまうこともあります。

「勝つか学ぶか」という視点は、自分たちにもう一つの道を示してくれます。
負けてもいい。失敗してもいい。
そのたびに、自分たちは確かに“学んで”いるのだから。


小さな一歩を積み重ねる

たとえ“足の親指半分”の前進だったとしても、それを10年、20年と積み重ねたら、どれほど遠くへ行けるでしょう。

ソリューションフォーカスの考え方では、スモールステップと呼んでいます。

白黒つけず、成長の螺旋を歩むこと。
マイケル・ジョーダンのように、結果を「勝つ」か「学ぶ」かで受け止めること。

そして、ソリューションフォーカスのように、今できていることや、うまくいっていることに注目して、
それを少しずつ広げていくこと――。

それが、長い人生において自分らしく生きるヒントになるかもしれません。

今日も佳き日に

コーチミツル


出典

  • マイケル・ジョーダンの言葉について
     この言葉はジョーダン自身が敗北や挫折を乗り越えてきた人生哲学の一つで、多くのビジネス書や自己啓発本でも引用されています。
  • 螺旋的成長モデル(Spiral Curriculum)
     ブルーナーやピアジェによる学習理論で、知識やスキルの獲得は、繰り返しながら深まるとされる。
  • ソリューションフォーカスについて
     スティーブ・ド・シェイザーらによる短期療法で、「うまくいっていることを強化し、未来に向けて小さな一歩を積み上げる」ことを重視します(参考:『解決志向ブリーフセラピー入門』他)。

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