169.黒松の葉が茶色に…(生きものの小さな変化に気づくということ)

うちの庭には、30年前に親戚のおじさんからいただいた黒松があります。

この木は、自分にとってはただの植木ではなく、季節のうつろいとともに生きてきた時間の記憶でもあります。

ところが最近、この黒松に「気」がないのです。

春、周りの木々が芽吹く中、黒松の葉はどこかくすんで見え、葉先が茶色くなって、秋を待たずにハラハラと落ちていきました。

生前の母が、「松の葉が茶色くなると悲しくなるね」と話していたことを思い出します。

あの時は、ただ聞き流していましたが、今、その気持ちがよくわかります。

黒松の病気と対策について

庭師さんに相談したところ、「松の病気によって弱っている可能性がある」と言われました。

現在は、消毒を行い、芽を摘むのをやめて自然の回復力を待つことにしました。

調べてみると、黒松には次のような病気があることが分かりました。

  • 松枯れ病(マツノザイセンチュウ)
     マツノマダラカミキリを通して広がる病気で、突然葉が茶色くなり、枯れてしまうことがあります。
     予防には、樹幹注入剤(アバメクチン系)の使用や、感染木の伐採・焼却が推奨されています。
  • 葉ふるい病
     葉の表面に小さな斑点ができ、進行すると茶色くなり落葉します。
     対処としては、殺菌剤(チオファネートメチルなど)の散布と、病葉の除去です。
  • 赤枯れ病
     葉が赤く変色し、枯れていく病気。原因は湿気や風通しの悪さ、真菌によるものなどが考えられます。

病気の進行は目に見えにくいところから始まります。

葉の色や落ち葉の量など、「いつもと違う」に気づくことが、実は一番大切なことなのかもしれません。

オリーブの木の失敗から

以前、畑の跡地にオリーブの木を植えたことがありました。

順調に育っていたはずが、ある春、葉が枯れていることに気づいて見てみると、根元には無数の穴。

オリーブアナアキゾウムシという害虫が、幹の中を食い荒らしていたのです。

大きくなってきたからと安心していた自分の油断でした。

気づくのが遅れ、結局そのオリーブは枯れてしまいました。

ほんの少しの異変に早く気づいていれば…と、後悔が残る出来事です。

生きものの変化に気づく観察力を育てるには

植物も、動物も、人間も、「元気がない」ときは必ず何かしらのサインを出しています。

それを受け取れるかどうかで、命のあり方が変わると感じます。

観察力を育てるために、自分が大切にしている方法を紹介します。

● 「いつもと違う」を意識する

毎日黒松を眺める中で、「今日の葉の色はどうだろう」と考えるだけでも、自然と変化に気づく力が育っていきます。

● 可能な限り頻繁に、全体を俯瞰して見る

朝や夕方など異なる時間帯に、木全体を一歩引いて見るように心がけています。

光の加減や湿気によって、見え方が変わることもあります。

これは、人との関係にも同じことが言える気がします。

身近な人ほど、毎日同じように接しているつもりでも、少しだけ視点を変えると、気づけることがあるのかもしれません。

● 心の声を聞く

「あれ?なんだか気になるな」と感じること。

理由はわからなくても、その「直感」を大事にするようにしています。

心が発するサインに耳を傾けることが、変化に気づくための第一歩になると思います。

● 五感を使う

目で見るだけでなく、手で触れたり、匂いを感じたりしてみると、「いつもと違う」に気づきやすくなります。

● 記録をとる

写真に撮って記録したり、日記をつけることで、微妙な変化を見逃さずに済みます。

通信教育で庭園技能士の資格を取ったとはいえ、

実際の庭や木々と向き合うことは、教科書では学びきれない経験の連続です。

松の前に立って、「元気になってくれよ」と心の中で声をかける。

その気持ちが、植物にもきっと届くと信じたい。

育てることは難しい。でもだからこそ、命と向き合う価値があるのだと思います

今日も佳き日に

コーチミツル

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