241.放置力が育む成長(啐啄の機を待つという智慧)

Instagramリールとの出会い

先日、Instagramで偶然出会ったリールに、心をつかまれました。

そこには「子どもが『自分でやってみたい』と思って動き出すのを信じて、そっと見守る力。それが『放置力』なんです」という言葉がありました。

たった数秒の短い動画でしたが、まるで自分がコーチングで大切にしている考えを、シンプルで温かい言葉に置き換えてくれたようでした。

Instagramリールはこちら

(「応援しすぎることが、かえって…」という一言が印象的です)

「放置力」とは?

「放置」と聞くと、冷たい、無関心という印象を受けるかもしれません。

しかし、このリールが伝えていた「放置力」はまったく逆で、相手を信じ、必要なときまであえて手を出さない勇気のことです。

時に、良かれと思って助けたりアドバイスしたりすることが、相手の主体性や成長の機会を奪ってしまうことがあります。

放置力は「何もしない」のではなく、「相手が動き出すタイミングを尊重する」という、深い思いやりから生まれる姿勢です。

「啐啄(そったく)の機」との共通点

以前このブログでも紹介した、禅語の「啐啄の機」。

これは、雛が卵の中から殻をつつく「啐(そつ)」と、親鳥が外から殻をつつく「啄(たく)」が、ぴったり合った瞬間にだけ命が外の世界へと踏み出せる…という教えです。

どちらが早すぎても遅すぎても、雛は生まれることができません。

放置力も同じです。

相手の内側から「やってみたい」という動きが生まれるまで待ち、そのサインが見えたら、そこで初めて外から支える。

その呼吸が合ったときにこそ、本当の成長が生まれます。

放置力を持つ人に共通する資質

心理学の研究では、**自己決定感(自分で選んで行動する感覚)**が高いほど、モチベーションの質や行動の持続力が高まることが分かっています。

放置力を持つ人は、この自己決定感を奪わずに見守ることができます。

例えば、

  • 結果を急がずに待てる
  • 失敗を受け止められる
  • 自分の不安をコントロールできる
  • 相手の成長を信じられる

これらは、家庭でも職場でも人間関係を大きく変える力になります。

自分自身の経験

コーチングの現場では、「この質問をすれば一気に進む」と思う瞬間があります。

しかし、それでもあえて口にしないことがあります。

相手が自分で答えにたどり着いたとき、その喜びや自信は何倍にも膨らむからです。

子育てでも、部下育成でも、趣味の仲間関係でも同じ。

こちらが先に殻を割ってしまうのではなく、相手の中で準備が整うまでそっと待つ。

その静かな時間こそが、一番のギフトになることを感じています。

放置力は、何もしない力ではなく、最適なタイミングまで信じて待つ力。

そして、そのタイミングを見極める感性は、経験や観察を重ねることで少しずつ育っていきます。

ちなみに何でも知っているAIにも学習モードがあって答えを教えてくれなかったりしますよね。

あなたが最近「手を出さずに待った」ことは、何ですか?

それは、相手にどんな変化をもたらしましたか?

今日も佳き日に

コーチミツル

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