前回のつづきから…
「忙しい人ほど引き受けてくれる」
「時間がありそうな人ほど断ることもある」
そんなジレンマを前回のブログ(221)で紹介しました。
今回はその続きとして、“時間に余裕がありそうな方”にお願いしたいとき、どう声をかけると引き受けてもらいやすくなるのかについて、心理的なヒントを交えてお届けします。

なぜ断られてしまうのか?その心理的背景
断られる理由の多くは、「時間がある/ない」だけではなく、
・責任が重そう
・一人にされそう
・やったことがないから不安
などといった心理的なハードルが背景にあります。
▶ 自己効力感と回避動機
「できる気がしない」「失敗したら嫌だな」
そんな不安を持つと、人はその場から距離を取ろうとするものです。
声かけの工夫 ~相手の“動機”を引き出すコツ~
■ 1. 小さなお願いから始める(フット・イン・ザ・ドア)
「来週の掲示板だけ見ていただけると助かります」
「配布物のチェックだけお願いできたらうれしいです」
まずは、明確でシンプルなタスクから始めましょう。
小さな成功体験が「やってみようかな」につながります。
■ 2. 「その人だからこそ」の強みや特性を伝える(ラベリング効果)
「◯◯さんの気配りって、いつも助かってるんです」
「◯◯さんなら、きっと周りを上手にまとめてくださると思って」
「あなたにお願いしたい理由」を明確にすると、
相手は自分の“強み”に気づき、それを活かしたいという前向きな気持ちになりやすくなります。
■ 3. 役割の目的と、本人にとってのメリットを伝える
「この役は、地域の皆さんの声を集めて“より住みやすくする”ためのものなんです」
「自分もこの役をやって、顔見知りが増えて話しかけてもらえるようになりました」
“この役にどんな意味があるのか”
“関わることでどんな良いことが得られるのか”
それを丁寧に伝えることで、役割が“義務”から“価値”に変わります。
■ 4. 「一緒にやるので安心してください」と添える
「基本は2人体制で進めてます」
「わからないことはいつでも聞いてくださいね」
人が一番不安に感じるのは、「自分ひとりで抱え込むこと」。
“チームで動く”安心感があれば、踏み出す勇気が生まれます。
■ 5. 過去の行動を根拠に、信頼と感謝を伝える
「以前のイベントで作っておられた案内文、とても見やすくて印象に残っていました」
「子どもたちがもめていた時に、さっと声をかけていた姿がとても印象的でした」
過去の行動を覚えていてもらえることは、誰にとってもうれしいものです。
「そのとき、ちゃんと見ていましたよ」「だからお願いしたいんです」──
そう伝えることで、頼まれた側は“信頼されている”と実感できます。
頼み方も、地域のつながりを育てる一歩
お願いするということは、ただ「役を押しつける」ことではありません。
「あなたの力が必要です」と伝える、信頼と期待の表現です。
頼み方ひとつで、人の心が動くことがあります。
そして、頼まれたことが、いつしかその人自身の誇りになることもあるのです。
あなたが「役をお願いされたとき」、どんな言葉で引き受けようと思えましたか?
逆に、誰かにお願いしたいとき、どんな言葉をかけてみたいですか
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