死球が飛び交い、両監督が退場となる異例の展開。
それでも、静かにチームに「冷静に」と手を差し伸べたひとりの選手がいました。
それが、大谷翔平選手です。
激しい展開の中、彼が見せた“ある行動”が、私の心に深く残りました。
それは、怒りや感情に飲み込まれそうな場面で、意志をもって空気を変える「選択」だったのです。
荒れる試合、揺れる心
MLBのある試合で、両軍の選手たちはピリピリとした空気の中で戦っていました。
内角攻めが続き、死球が飛び、両チームの監督が退場処分になるほどの緊迫した展開。
そして、9回表。スアレス投手の161km/hの速球が、大谷翔平選手の臀部を直撃します。
ベンチからは怒声が飛び、スタンドの空気も一気に緊張に包まれました。
一触即発。そんな雰囲気の中で、大谷選手が見せたのは「怒り」ではありませんでした。
両手を広げ、「落ち着いて」と伝えた
死球を受けた大谷選手は、顔をゆがめることも、相手をにらみつけることもなく、
ゆっくりとベンチの方に顔を向けて、両手を広げて「落ち着いて」とジェスチャーを送りました。
自チームのベンチに対してだけではありません。
相手チームにも向けていたように見えました。
それはまさに、試合の“空気”そのものを変える行動だったのです。

冷静さは“才能”ではなく“選択”
痛みを伴う死球を受けた直後。
興奮している味方ベンチと、ギリギリの緊張状態にある相手ベンチ。
そこで「怒らない」という選択をするには、強い意思と自覚が必要です。
大谷選手の冷静さは、単なる“落ち着いた性格”という言葉では片づけられません。
彼がその場で「どう在るか」を意識的に選んだ結果だったのではないかと思います。
感情は「反応」ではなく「選べるもの」
私たちは普段、「怒りたくて怒ったわけじゃない」と言ってしまいがちです。
でも実は、感情はある程度“選ぶことができる”とも言われています。
心理学者ヴィクター・フランクルはこんな言葉を残しています。
「刺激と反応の間には“間”がある。
その“間”にこそ、私たちの自由と成長の可能性がある」
つまり、「ムカッとした」と感じた直後に、どう反応するかは自分で選ぶ余地があるのです。
観客も見ている、心を配る視線
プロとしての振る舞いに、私はもう一つ注目したいと思いました。
それは、「観客の存在」です。
感情がぶつかり合う展開になれば、子どもたちも見ている前で乱闘が起きる可能性もありました。
そのとき、大谷選手が冷静にふるまったことは、場の空気を落ち着かせるだけでなく、
「安心して見ていられる試合」にもつながったと思います。
プレーの内容だけでなく、感情のあり方までも“観られている”という意識があるからこそ、
彼はあの場で「冷静さ」を選んだのかもしれません。
日常にも応用できる、感情のシフトチェンジ
私たちの毎日にも、感情が揺れる瞬間はたくさんあります。
たとえば、職場で理不尽なことを言われたとき。
家でちょっとしたひと言にイラっとしたとき。
そんなとき、「落ち着いて」と誰かに言われると余計に腹が立つこともあるかもしれません。
でも、自分で自分に向かって「いま、どうしたい?」と問うことはできます。
怒ってもいい。
でも、それをぶつけるのではなく、「選び直す」という心の技術。
それこそが、大谷選手の行動から学べる大きなヒントです。
感情の力を「平和」に使う
人の感情にはエネルギーがあります。
その力を誰かを攻撃するために使うか、それとも空気を穏やかにするために使うか。
大谷選手はまさに、感情を“平和の方向”に使ったように思えます。
怒りや苛立ちをゼロにする必要はありません。
大切なのは、その感情を「どう使いたいか」。
その選択は、私たち一人ひとりに委ねられているのです。
激しい試合の中で、静かに空気を整える。
大谷翔平選手が見せたあの行動は、感情を“押さえ込む”のではなく、
“選び直す”という新しい在り方を教えてくれているように感じました。
私たちも日々の中で、感情に飲み込まれそうになったとき、
少し立ち止まり、「どんな自分でいたいか」と問い直してみませんか?
きっとその選択が、まわりの空気までも穏やかに変えていくはずです。
今日も佳き日に
コーチミツル
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