
「笑顔がいいですね」と言われるとき
時々ですが「笑顔が素敵ですね」と言われることがあります。
正直、ちょっと照れくさいのですが、やっぱりうれしいものです。
心のなかにぽっと灯りがともるような気がします。
今日、ある施設の受付で声をかけたときのこと。
受付の方が少し仏頂面で、話しかけにくい雰囲気でした。
でも「こんにちは」と声をかけてみました。
…やっぱり笑顔は見られませんでした。
たまたま忙しかったのか、疲れていたのかもしれません。
でも、笑顔がないだけで、こちらも少し構えてしまうものですね。
笑顔は人間だけのもの?
「笑顔って、人間だけのものなんだろうか?」
ふとそんな問いが浮かびました。
犬や猫がしっぽを振ったり、目を細めたり、
リラックスした顔をしているのを見ると、
ああ、これは「笑ってる」んだなと思うことがあります。
実際、霊長類の中には、人間と同じように「笑い」に似た表情や音を出す種もいて、
チンパンジーやボノボは仲間との遊びやコミュニケーションで「笑い声」のような音を発することが観察されています(Waller & Dunbar, 2005)。
つまり、「笑顔」という形は人間に特徴的でも、
その感情の交流は動物にもあるということなのかもしれません。

どうして笑顔を見ると安心するのか?
実は、笑顔を見ると人の脳では「オキシトシン」というホルモンが分泌されることがわかっています。
これは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、信頼や共感、安心感を高めてくれる物質です。
また、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞が、相手の表情をまねるように自分の脳でも反応し、
笑顔を見るとこちらも自然と笑顔になったり、気持ちが和らいだりするのです(Rizzolatti & Craighero, 2004)。
だから、知らない人の笑顔にも、ホッとしたり、心が緩んだりするのですね。
笑顔の語源は「花が咲く」
「笑う」という漢字の成り立ちを調べると、
古代中国では「笑」は「花が咲くように開くこと」から来ているとも言われています。
日本語でも、「笑顔が咲く」と表現することがありますよね。
花がふわっと咲いたときの明るさ、やさしさ、温かさ。
まさに笑顔と重なります。
だから、私たちは自然と花を見ると明るい気持ちになるのかもしれません。
花の姿が、私たちに微笑みかけてくれているように感じるから。
あなたの笑顔は、誰かの安心なのかも
笑顔は、特別な人にだけ向けるものではありません。
道ですれ違う人、レジの店員さん、子ども、年配の方――
誰かの笑顔に救われることがあるように、
自分の笑顔も、きっと誰かの支えになることがあります。
もし、自分の笑顔が花のように咲くとしたら。
それは、見る人の心にやさしさの種をまく、そんな花かもしれません。
今日も佳き日に
コーチミツル
引用
- Waller, B.M., & Dunbar, R.I.M. (2005). Differential behavioural effects of laughter and social vocalizations in chimpanzees. Ethology, 111(2), 129–144.
- Rizzolatti, G., & Craighero, L. (2004). The mirror-neuron system. Annual Review of Neuroscience, 27, 169–192.
- Uvnäs-Moberg, K. (1998). Oxytocin may mediate the benefits of positive social interaction and emotions. Psychoneuroendocrinology, 23(8), 819–835.