「良いことないかなあ」
そんなふうに、友人との会話や独り言でつぶやくこと、誰にでもあると思います。
でも、よく考えると、その“良いこと”は「宝くじの高額当選」や「理想の人との出会い」、「いい仕事が見つかる」など、かなり“レベルの高い幸運”を期待していることが多いものです。
もちろん、それが起きたら嬉しい。けれど、ただ待っているだけでそんなことが起こる確率は、鳥の雛が口を開けていれば親鳥が餌を運んでくれるようなもの。
つまり、「ほとんどない」と言っていいでしょう。
釣り糸を垂らすだけでは釣れない
これは、釣りにも似ています。
私も子どもが小さいころ、よく一緒に釣りに行きました。
竿を垂らすだけでは、なかなか魚はかかりません。
タイを釣りたいなら、それに合ったエサや仕掛けを選び、潮の流れや時間帯、風の向きを読む必要があります。
実際、釣り愛好家の統計によれば、防波堤や堤防で魚が釣れる確率(釣果率)はおおむね1〜2割程度。
しかも「狙った魚」を釣り上げられる確率は、**1%未満から数%**と言われています。
つまり、釣り糸を垂らして「いい魚がかかるのを待つ」だけでは、期待通りの結果はまず得られません。
これは、「良いことが起きないかな」と願うだけの状態と、よく似ています。

言葉にすることで、脳が動き出す
「良いこと」を引き寄せる第一歩は、それを具体的に言葉にすること。
脳の**RAS(網様体賦活系)**は、意識したものに関連する情報を選択的に拾い上げる仕組みを持っています。
「赤い車が欲しい」と思った瞬間から、街中で赤い車ばかりが目につくようになるのは、その働きによるものです。
つまり、「どんな良いことを望んでいるのか」を明確に言葉にすることで、脳はその情報を自然と探し始める。
これが、コーチングで言う**“理想の未来を描く”**というプロセスと重なります。
ソリューション・フォーカスの考え方
コーチングには「ソリューション・フォーカス(解決志向アプローチ)」という考え方があります。
それは、「問題を掘り下げるよりも、理想の状態を描き、そこに向かうための小さな一歩を見つける」手法です。
「今より少しでも理想に近づくために、できることは何だろう?」
この問いを自分に投げかけることが、行動のきっかけになります。
行動が生まれると、アルバート・バンデューラの**自己効力感(Self-efficacy)**理論が示すように、
「自分はできる」という感覚が強化されます。
そして、小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化を生み出すのです。
「伝えること」も立派な行動
行動といっても、必ずしも大きなチャレンジである必要はありません。
誰かに「自分の理想」を話してみること、それだけでも十分です。
UCLAのマシュー・リーバーマンの研究では、感情や考えを言葉にすることで脳の扁桃体の興奮が抑えられ、
前頭前野が活性化し、冷静に行動できる状態になると報告されています。
つまり、言葉にして伝えることが、行動を起こすための第一歩になるのです。
コーチングのセッションでも、クライアントが理想を語るとき、すでに変化は始まっています。
「言葉にする」=「動き出す」――その瞬間から未来は少しずつ動き始めているのです。
行動が「偶然」を「必然」に変える
釣り糸を垂らしただけでタイが釣れる確率はほんのわずか。
でも、仕掛けを工夫し、場所や時間を見極め、挑戦を重ねれば、その確率は確実に上がります。
人生も同じです。
言葉にし、理想を描き、小さな一歩を踏み出す。
その行動が“偶然の幸運”を“必然の結果”へと変えていきます。
あなたがいま「釣り上げたい良いこと」は、どんな出来事ですか?
そのための“最初の一歩”として、今日できる小さな行動は何でしょうか?
今日も佳き日に
コーチミツル
Well-Log #コーチング #ソリューションフォーカス #行動する力 #良いこと #自己効力感 #焦点の法則 #RAS #言葉の力 #夢に近づく #行動心理学 #小さな一歩 #釣りの比喩 #解決志向 #思考の整理 #未来を描く #出雲 #松江 #CoachMitsuru