297.第2回:「コーチとしてのAI・Zoom利用と守秘義務」(クライアントの“信頼”を守るためにできること)

はじめに

コーチングのセッション後、記録をまとめてログ(議事録)を作成する作業がある場合は、実はかなりの労力を伴います。内容を正確に書き起こし、整理し、次回セッションに活かせるよう構成する――。
集中して聞いていた分、終わったあとは体力も使い果たしていることが多いのではないでしょうか。

そんなときに登場したのが、ZoomのAI要約機能です。
自動でセッションの内容を文字起こしし、要約まで作ってくれる――。
コーチとしては「これはすぐにでも使いたい!」と思うほど便利なツールです。

しかし、その便利さの裏には、守秘義務と個人情報保護という大切なテーマが隠れています。
今回はこのAI要約機能を例に、「なぜ同意が必要なのか」「AI時代にコーチが守るべきこと」を整理したいと思います。


ZoomのAI要約機能とは

Zoomや他社サービス(Otter.ai、Nottaなど)のAI要約は、
会話をリアルタイムでテキスト化し、自動で要約してくれる仕組みです。

ただし、AIが処理を行うのはあなたのパソコン内ではなく、
Zoom社や関連企業の外部サーバー上です。
つまり、セッション中の音声データが一時的に外部に送られ、解析されたうえで要約が返ってくるのです。

この点が、コーチングにおける「守秘義務」と深く関わってきます。


なぜ「同意を得て使用」する必要があるのか

コーチングの会話には、クライアントの個人情報や職場の事情、
家族関係などのセンシティブな内容が含まれます。

こうした情報をクライアントの了承なしに外部サーバーに送信すると、
たとえAIが処理しているだけでも第三者提供と見なされるおそれがあります。

リスク内容
守秘義務違反クライアントの発言が外部処理されることで倫理規定に抵触する可能性
個人情報保護法違反音声中に氏名・勤務先・心理状態などの個人情報が含まれる場合
信頼関係の損失「どこまでが記録・保存されるのか」が不明瞭になる

AI要約を使う前に、クライアントにきちんと説明し、同意を得ることが欠かせません。


クライアントへの説明例

「本日のセッションでは、内容を正確に振り返るためにAIによる自動要約を使わせていただきたいですが、使用に際してどうお考えになりますか?この場合、音声データが一時的に外部サーバーに送られ、AIが自動で議事録を作成しますが、第三者に公開されることはありません。なお、ご不安があれば、AIを使わず私自身で記録しますが、どちらをご希望ですか?」

目的と仕組み、そして選択肢を明確に伝えることが、クライアントの安心につながります。また、仮にAIによる自動要約を許可していただいた場合も個人名などを話さずにイニシャル等で話す必要も出てくると思われます。


ICF倫理規定(2025年改訂)における守秘義務

2025年4月改訂のICF倫理規定では、AIを含む最新テクノロジーを利用する場合の責任が
明確に示されています。該当箇所は「第4章:Ethical Standards for ICF Professionals(倫理基準)」の
**第2節:Confidentiality and Legal Compliance(守秘義務と法的遵守)**です。

🔹 原文

2.1 Maintain the strictest level of confidentiality with all parties involved, regardless of the role I am fulfilling.

2.4 Maintain, store, and dispose of any records, including electronic files and communications, in a manner that promotes confidentiality, security, and privacy, and complies with applicable laws and agreements.

2.5 Fulfill my ethical and legal obligations … directly and through any technology systems I may utilize (i.e. technology-assisted coaching tools, databases, platforms, software, and artificial intelligence).


💬 ChatGPT訳

2.1 自分がどのような立場や役割にある場合でも、関わるすべての当事者の情報について、最高水準の守秘義務を維持する。

2.4 電子ファイルや通信記録を含むすべてのデータを、守秘・安全・プライバシーを確保できる方法で管理・保存・廃棄し、関連する法律および契約を遵守する。

2.5 自分が利用するあらゆる**技術システム(AI、データベース、コーチングツール、プラットフォームなど)**を通じても、倫理的かつ法的な義務を果たす。


この条文によって、AIやデジタルツールを使っても、
最終的な守秘義務の責任はコーチ本人にあることが明確になりました。

AIがどれほど便利でも、「クライアントの信頼を守る」という根本的な価値は変わりません。


実践のためのチェックリスト

項目推奨対応
AI要約の使用クライアントの同意を得た場合のみ使用
要約データセッション後は削除。クラウド保存は避ける
録画データローカル保存に限定し、第三者共有をしない
通信環境公共Wi-Fiを避け、安全な接続を確保
契約書「AIツールを使用する可能性がある」旨を明記

「便利さ」と「信頼」を両立するために

AIの導入は、コーチングの効率を大きく高めます。
しかし、クライアントが安心して話せる環境を守ることは、
どんな時代でもコーチの最も重要な役割です。

AIは私たちのサポーターであって、責任を肩代わりする存在ではありません。
使うのは人、そして信頼を築くのも人。
そのバランスを意識することが、AI時代のコーチに求められる新しい倫理観だと思います。


コーチミツルのまとめ

今回の記事は、自分(コーチミツル)が調べた情報をもとにまとめました。
AIやZoomの仕様は日々進化しています。ここに書かれている内容はあくまで参考情報として、最終的にはご自身で最新の設定や規約を確認し、自分の判断で使ってほしいと思います。

そして――
このブログそのものも、AI(ChatGPT)の協力を得て書かれています。

つまり、「AIの利用と信頼の両立」というテーマを、
AIと共に作りながら考えているということ。

AIは、人の思考を奪うものではなく、
**信頼のもとに共創できる“相棒”**になり得ます。
その使い方を選び、責任を持って扱う――
それこそが、コーチとしての使命だと感じています。

今日も佳き日に

コーチミツル


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