
最近、PCやスマホの普及により、紙ベースの書籍や資料が少なくなってきたように感じます。
自分が勤めていた会社でもフリーアドレス化が進み、会議資料はPCで表示。ペーパーレスでの業務が当たり前になりました。
限られた資源を大切にする意味では、とても良い変化だと思います。
その一方で、日常を振り返ってみると、紙や実体のあるもののほうが、なぜか“記憶に残りやすい”し、心が動く。
これは自分だけなのか、それとも感覚だけではないのか――気になって少し調べてみました。
紙の本・新聞は本当に減っている?
●書籍(紙の本)
調べてみると、紙の本は実際に減っていました。
出版科学研究所によると、
紙の書籍の販売額は 1996年の約1兆4,000億円 → 2023年は約6,370億円。
(出所:出版科学研究所「出版指標年報」)
一方、電子書籍市場は2023年 約5,770億円 まで成長しているそうです。
(出所:インプレス総研「電子書籍ビジネス調査報告書2024」)
自分が感じていた「紙の本が減った気がする」という体感も、どうやらデータとつながっていました。
●新聞
新聞はもっと顕著でした。
日本新聞協会の統計では、
2000年の5,347万部 → 2023年には2,966万部 に。
(出所:日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数」)
オンラインニュースやSNSで情報を得る時代になり、必然の流れなのかもしれません。
電子媒体だと記憶が薄いように感じる理由
個人的な感覚で言うと電子媒体で読むと、どうも記憶が薄いように思うのです。
改めて調べてみると、紙の方が内容を思い出しやすい、という報告がありました。
ノルウェー・スタヴァンゲル大学の実験では、
紙で本文を読んだほうが“内容理解”と“想起(思い出す力)”が少し高かったそうです。
(出所:Anne Mangen, University of Stavanger, 2013)
触覚やページの位置感覚が、記憶を助けるという説明があり、
通信教育で紙とノートを使ってきた自分のやり方は、理にかなっていたのだと感じました。
タブレット学習の「良いところ」と「残念なところ」
今は小学生からタブレットで勉強する時代ですが、学習方法としての特徴をもう少し調べてみました。
◎良いところ
- 動画やアニメーションで理解が進む
- 荷物が軽くなる
- 正誤がその場で分かる
- 辞書・資料へのアクセスが圧倒的に速い
(出所:文部科学省「GIGAスクール構想」関連資料 2021–2023)
▲残念なところ
- 画面の光で集中が途切れやすい
- 手書きよりも深い記憶に残りにくいという研究がある
(出所:Science Reports, 2020/手書き vs タイピング研究) - 紙ほど“身体で覚える感覚”が働かない
- 長時間のタブレットは疲れやすい
やはり記憶や理解を深めたい学習では、紙の強さがまだまだ健在のようです。
CDやレコードに惹かれる理由(五感と所有感)
自分は音楽も、ダウンロードよりCD、さらに最近はLP(レコード)に戻りつつあります。
ジャケットを飾ったり、針を落とす儀式のような時間が楽しいからです。
- ジャケットの大きさ・手触り
- 針を置くときの緊張感
- アナログの音が持つ“空気の震え”
こうした五感の情報が、音楽そのものと深く結びついているように思います。
データだけのアイテムに価値を感じにくい理由
ゲーム内アイテムなど、形のないものにお金を使うことはあまり興味がわきません。
自分はそう感じるのですが、一般的にはどうでしょうか?
心理学では、自分のような人を
「有形の価値(Tangible Value)を重視するタイプ」
という言い方をするそうです。
- 触れる
- 飾れる
- 残る
こうした“手ざわりのある価値”を求めるタイプは一定数いるようで、
LPジャケットを飾る楽しみは、まさにここに当てはまります。
紙とデジタルの、ちょうどいい使い分け
結局のところ、どちらが正しいというものではなく、目的に応じて使い分けるのが心地よいのだろうと感じます。
【デジタルが向いているもの】
- 速報を知りたいとき
- 会議資料・大量情報
- コストを抑えたいとき
- 整理・検索が必要なもの
【紙が向いているもの】
- 深く理解したい勉強
- 音楽やアートを味わう趣味
- 長く残しておきたいもの
- 五感を使って味わいたい内容
自分自身を振り返ってみると、自然とこの使い分けをしてきたように思います。
「残したいものは紙。
すぐに知りたいものはデジタル。」
今は、そのあたりがちょうど良いバランスなのかもしれません。
もし“ひとつだけ残せる”としたら、どちらを選びますか?
紙のノートでしょうか。
それとも、デジタルのフォルダでしょうか。
あなたの選ぶものが、あなたの「記憶の残り方」や「価値の置きどころ」を教えてくれるのかもしれません。
今日も佳き日に
コーチミツル
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