346.デジタル全盛でも“紙”に惹かれる理由(記憶・感覚・価値の観点から考える、ささやかな使い分け)

最近、PCやスマホの普及により、紙ベースの書籍や資料が少なくなってきたように感じます。
自分が勤めていた会社でもフリーアドレス化が進み、会議資料はPCで表示。ペーパーレスでの業務が当たり前になりました。
限られた資源を大切にする意味では、とても良い変化だと思います。

その一方で、日常を振り返ってみると、紙や実体のあるもののほうが、なぜか“記憶に残りやすい”し、心が動く
これは自分だけなのか、それとも感覚だけではないのか――気になって少し調べてみました。


紙の本・新聞は本当に減っている?

●書籍(紙の本)

調べてみると、紙の本は実際に減っていました。

出版科学研究所によると、
紙の書籍の販売額は 1996年の約1兆4,000億円 → 2023年は約6,370億円
(出所:出版科学研究所「出版指標年報」)

一方、電子書籍市場は2023年 約5,770億円 まで成長しているそうです。
(出所:インプレス総研「電子書籍ビジネス調査報告書2024」)

自分が感じていた「紙の本が減った気がする」という体感も、どうやらデータとつながっていました。


●新聞

新聞はもっと顕著でした。

日本新聞協会の統計では、
2000年の5,347万部 → 2023年には2,966万部 に。

(出所:日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数」)

オンラインニュースやSNSで情報を得る時代になり、必然の流れなのかもしれません。


電子媒体だと記憶が薄いように感じる理由

個人的な感覚で言うと電子媒体で読むと、どうも記憶が薄いように思うのです。
改めて調べてみると、紙の方が内容を思い出しやすい、という報告がありました。

ノルウェー・スタヴァンゲル大学の実験では、
紙で本文を読んだほうが“内容理解”と“想起(思い出す力)”が少し高かったそうです。
(出所:Anne Mangen, University of Stavanger, 2013)

触覚やページの位置感覚が、記憶を助けるという説明があり、
通信教育で紙とノートを使ってきた自分のやり方は、理にかなっていたのだと感じました。


タブレット学習の「良いところ」と「残念なところ」

今は小学生からタブレットで勉強する時代ですが、学習方法としての特徴をもう少し調べてみました。

◎良いところ

  • 動画やアニメーションで理解が進む
  • 荷物が軽くなる
  • 正誤がその場で分かる
  • 辞書・資料へのアクセスが圧倒的に速い
    (出所:文部科学省「GIGAスクール構想」関連資料 2021–2023)

▲残念なところ

  • 画面の光で集中が途切れやすい
  • 手書きよりも深い記憶に残りにくいという研究がある
    (出所:Science Reports, 2020/手書き vs タイピング研究)
  • 紙ほど“身体で覚える感覚”が働かない
  • 長時間のタブレットは疲れやすい

やはり記憶や理解を深めたい学習では、紙の強さがまだまだ健在のようです。


CDやレコードに惹かれる理由(五感と所有感)

自分は音楽も、ダウンロードよりCD、さらに最近はLP(レコード)に戻りつつあります。
ジャケットを飾ったり、針を落とす儀式のような時間が楽しいからです。

  • ジャケットの大きさ・手触り
  • 針を置くときの緊張感
  • アナログの音が持つ“空気の震え”

こうした五感の情報が、音楽そのものと深く結びついているように思います。


データだけのアイテムに価値を感じにくい理由

ゲーム内アイテムなど、形のないものにお金を使うことはあまり興味がわきません。
自分はそう感じるのですが、一般的にはどうでしょうか?

心理学では、自分のような人を
「有形の価値(Tangible Value)を重視するタイプ」
という言い方をするそうです。

  • 触れる
  • 飾れる
  • 残る

こうした“手ざわりのある価値”を求めるタイプは一定数いるようで、
LPジャケットを飾る楽しみは、まさにここに当てはまります。


紙とデジタルの、ちょうどいい使い分け

結局のところ、どちらが正しいというものではなく、目的に応じて使い分けるのが心地よいのだろうと感じます。

【デジタルが向いているもの】

  • 速報を知りたいとき
  • 会議資料・大量情報
  • コストを抑えたいとき
  • 整理・検索が必要なもの

【紙が向いているもの】

  • 深く理解したい勉強
  • 音楽やアートを味わう趣味
  • 長く残しておきたいもの
  • 五感を使って味わいたい内容

自分自身を振り返ってみると、自然とこの使い分けをしてきたように思います。

「残したいものは紙。
すぐに知りたいものはデジタル。」

今は、そのあたりがちょうど良いバランスなのかもしれません。

もし“ひとつだけ残せる”としたら、どちらを選びますか?

紙のノートでしょうか。
それとも、デジタルのフォルダでしょうか

あなたの選ぶものが、あなたの「記憶の残り方」や「価値の置きどころ」を教えてくれるのかもしれません。

今日も佳き日に

コーチミツル

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