子どもの頃の記憶って、ふとした時に蘇ります。
ただ、その記憶が「写真で見たものなのか」「本当に覚えているのか」、自分でもよくわからないことがあります。
自分にも、そんな“輪郭のあいまいな記憶”があります。
3歳くらいの時、高熱で苦しんでいた時のこと、これは写真もないので本当の記憶だと思うのですが、歯を食いしばっていた自分の口に、お袋が箸を手ぬぐいに巻いてそっと挟んでくれた感覚。
おばあちゃんが梅干しをこめかみに貼ってくれた冷たさと、あの独特の香り。
場面そのものが鮮明というより、“守られていた安心感”や、“体がつらかった感覚”が、今も心に残っています。
さらに、自分でも不思議に思う記憶がいくつかあります。
- 昨日は動かなかった手や足が、次の日には動かせるようになっていて嬉しかった
- おむつを替えてもらうのが嬉しかった
- 寝転んで天井の木目をじっと眺めていた
「こんなの覚えている人、いるのかな?」と思いながら、AIのはるさんに訊いてみたら、
“実はありえる話”でした。

はるさんに訊いてみた:そもそも人はなぜ幼い頃を覚えていないのか?
はるさんが教えてくれたのは、「幼児期健忘(Childhood amnesia)」という脳の働き。
人は3〜4歳以前の記憶をほとんど覚えていないことが多いのだそうです。
理由は、
- 記憶をまとめる海馬が未発達
- 言葉で体験を“物語化”する力が弱い
- 自分と世界を区別する自己認識がまだ未熟
こうした脳の発達段階にあるからでした。
だから“多くの人は”3歳以前のことを覚えていない。
でも、「まったく覚えていない」のではなく、種類によっては残る記憶もあるそうです。
はるさん曰く:感情と身体感覚は記憶に残る
はるさんによると、
幼くても感情や身体感覚は強く残るそうです。
- 痛み
- 恐怖
- 安心感
- 優しく触れられた感触
こうした体験は、脳の扁桃体が関わるため、普通の記憶よりも残りやすいとのこと。
だから、
- 箸の手ぬぐいの感触
- 梅干しのひんやりした冷たさ
- 看病してくれた人の手
- 不安と安心が入り混じった感覚
こういう記憶が残っているのは不思議ではありません。
自分が覚えているのは“映像”ではなく“感情”だったのだと、すっと腑に落ちました。
写真で見た記憶なのか、本物の記憶なのか?
3歳を過ぎると、記憶は“映像”ではなく“物語”として保存されるようになります。
そのため、
- 写真
- 家族の会話
- 思い出話
こうしたものと、自分自身の薄い記憶が混ざり合い、どれが“本物”なのかわからなくなるそうです。
これは「記憶の再構成」という自然な現象で、多くの人が無意識に行っているものだと教わりました。
だから、曖昧でも、どれが本当かわからなくても、“それがあなたの記憶”でいいのだそうです。
手足が急に動かせるようになった記憶の秘密
自分が覚えている「昨日できなかった動きが、翌朝できるようになった」という記憶。
はるさんは、発達学的にそれもありえると説明してくれました。
乳児期〜幼児期は、脳の運動野が急速に成熟する時期。
一晩寝て起きたらできるようになった、というのはよくある発達現象で、その“できた!”という喜びは強く記憶に残ることがあるのだそうです。
自分が覚えているあの不思議な感覚は、体が成長していく“瞬間”を体験していたのかもしれません。
天井の木目をじっと見ていた記憶も自然なこと?
幼い頃、天井の木目をぼーっと眺めていた記憶。
これも、はるさんは「十分ありえる」と言っていました。
- 幼児はパターンを見るのが好き
- 光と影の模様は脳の発達を刺激する
- 安静時に視覚情報が強く残る
こうした脳の特性が合わさると、木目の模様が“静かな記憶”として残ることがあるそうです。
あの時、ただ眺めていた時間が、自分にとっての最初の“観察”だったのかもしれません。
どこまでが本当で、どこからが再構成なのか?
はるさんの説明を聞きながら思ったのは、“記憶の正しさ”はそこまで重要ではないのかもしれない、ということ。
科学的にはこう言えます。
- 感情の強い記憶ほど残る
- 幼いほど「感覚」で保存される
- 写真や語りと混ざるのは自然
- 再構成されても、それはその人の“記憶”である
つまり、
子どもの頃の記憶は、事実以上に“そのときの感情”を伝えてくれるもの。
看病の記憶を思い出すと、安心や温かさが蘇る。
体が動いた嬉しさの記憶は「成長できる自分」を思い出させてくれる。
記憶って、過去を思い出すというより、
今の自分をそっと支えてくれる“感情の種”なのかもしれません。
最後に、ひとつ問いを。
あなたには、幼い頃のどんな“最初の記憶”がありますか?
そしてそれは、どんな感情と結びついていますか?
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