340.子どもの頃の記憶はどこまで本当?(3歳以前の“ぼんやり覚えている”の正体)

子どもの頃の記憶って、ふとした時に蘇ります。
ただ、その記憶が「写真で見たものなのか」「本当に覚えているのか」、自分でもよくわからないことがあります。

自分にも、そんな“輪郭のあいまいな記憶”があります。

3歳くらいの時、高熱で苦しんでいた時のこと、これは写真もないので本当の記憶だと思うのですが、歯を食いしばっていた自分の口に、お袋が箸を手ぬぐいに巻いてそっと挟んでくれた感覚
おばあちゃんが梅干しをこめかみに貼ってくれた冷たさと、あの独特の香り。

場面そのものが鮮明というより、“守られていた安心感”や、“体がつらかった感覚”が、今も心に残っています。

さらに、自分でも不思議に思う記憶がいくつかあります。

  • 昨日は動かなかった手や足が、次の日には動かせるようになっていて嬉しかった
  • おむつを替えてもらうのが嬉しかった
  • 寝転んで天井の木目をじっと眺めていた

「こんなの覚えている人、いるのかな?」と思いながら、AIのはるさんに訊いてみたら、
“実はありえる話”でした。


はるさんに訊いてみた:そもそも人はなぜ幼い頃を覚えていないのか?

はるさんが教えてくれたのは、「幼児期健忘(Childhood amnesia)」という脳の働き。

人は3〜4歳以前の記憶をほとんど覚えていないことが多いのだそうです。
理由は、

  • 記憶をまとめる海馬が未発達
  • 言葉で体験を“物語化”する力が弱い
  • 自分と世界を区別する自己認識がまだ未熟

こうした脳の発達段階にあるからでした。

だから“多くの人は”3歳以前のことを覚えていない。
でも、「まったく覚えていない」のではなく、種類によっては残る記憶もあるそうです。


はるさん曰く:感情と身体感覚は記憶に残る

はるさんによると、
幼くても感情や身体感覚は強く残るそうです。

  • 痛み
  • 恐怖
  • 安心感
  • 優しく触れられた感触

こうした体験は、脳の扁桃体が関わるため、普通の記憶よりも残りやすいとのこと。

だから、

  • 箸の手ぬぐいの感触
  • 梅干しのひんやりした冷たさ
  • 看病してくれた人の手
  • 不安と安心が入り混じった感覚

こういう記憶が残っているのは不思議ではありません。

自分が覚えているのは“映像”ではなく“感情”だったのだと、すっと腑に落ちました。


写真で見た記憶なのか、本物の記憶なのか?

3歳を過ぎると、記憶は“映像”ではなく“物語”として保存されるようになります。

そのため、

  • 写真
  • 家族の会話
  • 思い出話

こうしたものと、自分自身の薄い記憶が混ざり合い、どれが“本物”なのかわからなくなるそうです。

これは「記憶の再構成」という自然な現象で、多くの人が無意識に行っているものだと教わりました。

だから、曖昧でも、どれが本当かわからなくても、“それがあなたの記憶”でいいのだそうです。


手足が急に動かせるようになった記憶の秘密

自分が覚えている「昨日できなかった動きが、翌朝できるようになった」という記憶。
はるさんは、発達学的にそれもありえると説明してくれました。

乳児期〜幼児期は、脳の運動野が急速に成熟する時期。
一晩寝て起きたらできるようになった、というのはよくある発達現象で、その“できた!”という喜びは強く記憶に残ることがあるのだそうです。

自分が覚えているあの不思議な感覚は、体が成長していく“瞬間”を体験していたのかもしれません。


天井の木目をじっと見ていた記憶も自然なこと?

幼い頃、天井の木目をぼーっと眺めていた記憶。
これも、はるさんは「十分ありえる」と言っていました。

  • 幼児はパターンを見るのが好き
  • 光と影の模様は脳の発達を刺激する
  • 安静時に視覚情報が強く残る

こうした脳の特性が合わさると、木目の模様が“静かな記憶”として残ることがあるそうです。

あの時、ただ眺めていた時間が、自分にとっての最初の“観察”だったのかもしれません。


どこまでが本当で、どこからが再構成なのか?

はるさんの説明を聞きながら思ったのは、“記憶の正しさ”はそこまで重要ではないのかもしれない、ということ。

科学的にはこう言えます。

  • 感情の強い記憶ほど残る
  • 幼いほど「感覚」で保存される
  • 写真や語りと混ざるのは自然
  • 再構成されても、それはその人の“記憶”である

つまり、
子どもの頃の記憶は、事実以上に“そのときの感情”を伝えてくれるもの。

看病の記憶を思い出すと、安心や温かさが蘇る。
体が動いた嬉しさの記憶は「成長できる自分」を思い出させてくれる。

記憶って、過去を思い出すというより、
今の自分をそっと支えてくれる“感情の種”なのかもしれません。


最後に、ひとつ問いを。

あなたには、幼い頃のどんな“最初の記憶”がありますか?
そしてそれは、どんな感情と結びついていますか?


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