
昔の夏の夕立
子どもの頃、真夏の夕方に突然の夕立がありました。昼間の暑さがすっと落ち着き、ひんやりした風とともに、雨で濡れた土の匂いが立ちのぼる――あの瞬間が大好きでした。
最近になって、この匂いには 「ペトリコール」 という名前があると知りました。乾いた土に雨が染み込むときに植物や微生物から放たれる物質が香りの正体なのだそうです。科学の言葉を知ることで、懐かしい記憶に新しい意味が加わります。
海で過ごした夏の思い出
夏といえば海。若い頃、子どもを連れて何度も海へ出かけました。海の家の焼きそばやかき氷は、普段よりもずっと美味しく感じられ、家族の笑顔とともに心に残っています。
しかし、その海の家も今では出店をやめてしまいました。さらに思い返すと、昔は屋根のある場所に入れば「涼しいなあ」と感じられたのに、今では「ヤケドしに行くような暑さ」に変わったようにも思います。
データで見る“夏の変化”
海水浴客数の推移
2015年には55万人ほどいた海水浴客は、年々減少しています。特に 2020年は新型コロナウイルスの影響で15万人まで急落。多くの海水浴場が開設中止や規模縮小となり、観光・レジャーが制限されたためです。翌年以降は回復傾向を見せましたが、かつての賑わいには戻っていません。
日本への台風襲来数の推移
一方で、日本に接近・襲来した台風の数は、2015年以降で 9個~22個の幅 で推移しています。2023年は9個と少ない年でしたが、「数が少ない=安心」とは限りません。近年は勢力が強いまま長く停滞し、大雨や線状降水帯をもたらすなど、新しい形の脅威となっています。
夏の平均気温の上昇
気象庁によると、日本の夏(6~8月)の平均気温は 過去100年でおよそ+1.31℃上昇 しています。さらに2024年は統計開始以来もっとも暑く、平年比+1.76℃の記録的猛暑でした。
「屋根の下でも暑い」と感じるのは、体感だけではなくデータでも裏付けられています。
夏の暮らしの変化
こうした気候の変化や社会状況の影響を受け、海水浴客は減少し、ショッピングセンターで過ごす人は増加するなど、夏の過ごし方も変わってきました。
「夏だから外へ」という考え方から、「涼しい室内で安全に過ごす」へ――時代に合わせたライフスタイルが広がっているのだと感じます。
夕立で涼しくなったあの夏の夕方。
海の家での思い出。
そして、いまは「屋根の下でも暑さを逃れられない」夏。
気候と暮らしの両方が変わりゆく中で、あなたにとっての“夏の風景”はどのように変わってきていますか?
今日も佳き日に
コーチミツル
#変わっていく夏の風景 #気候変動 #海水浴 #台風 #猛暑 #ペトリコール #松江 #コーチミツル