232.悩みを話すと心が軽くなるのはなぜ?(カウンセリングとコーチングのちがい、そして“ことば”の力)

「誰かに話すだけで、少し楽になるんだよね」
そんな経験、ありませんか?


状況は変わらなくても、心が変わる理由

悩みや不安を抱えているとき、「一人で抱え込まないで」と言われることがあります。
実際に、信頼できる友人やカウンセラーに話すだけで、少し心が軽くなるという経験を持っている方も多いでしょう。

でも、なぜ「ただ話す」だけで、こんなにも気持ちが変わるのでしょうか?

それは、感情を言葉にすること自体が「整理」と「手放し」の作用を持っているからです。


「ラベリング効果」が心を整える

たとえば、「なんだかモヤモヤする」と思っていた気持ちが、
「悲しかった」「悔しかった」「寂しかった」と言葉になった瞬間、
自分でも「あぁ、自分はこう感じていたんだ」と理解できるようになります。

これは心理学で「ラベリング効果」と呼ばれていて、
感情に名前(ラベル)をつけることで、心が落ち着くというメカニズムです。

怒りや不安のような強い感情も、名前をつけて認識することで、
脳の“感情を司る部分”が静まり、冷静さを取り戻しやすくなるとされています。


カウンセリングの本質は「共に在ること」

自分は、コーチであり、カウンセリングは行うことはありませんが、カウンセリングでは、アドバイスや解決策よりも、とにかく“話を聴く”ことが大切にされます。

「評価しない」「遮らない」「否定しない」――
そうした姿勢の中で、人は安心し、自分の気持ちを丁寧に見つめ直すことができます。

相手の苦しみにただ寄り添い、「その気持ち、ちゃんと伝わってきますよ」と共感を示すことで、
自然と癒しが起こっていくのです。


コーチングとの違いと重なる部分

一方で、コーチングは未来に向かう対話が軸です。
目標や理想に向かって、「どうしたら前に進めるか?」を探っていきます。

ただし、誤解されがちなのは「コーチングは解決策だけを扱うもの」というイメージです。
実際には、コーチングにおいても共感・傾聴・承認は欠かせません。

むしろ、自分は「その土台があるからこそ、未来へ進むエネルギーが生まれる」と感じています。


心の状態で使い分ける“心身感情レベル”

自分は、心の状態を数値化してイメージする「心身感情レベル」という考え方を持っています。
これは、相手の今の状態に合わせて、コーチングかカウンセリングかを見極めるための目安にもなります。

🔽心身感情レベルとアプローチの目安

レベル心の状態適したアプローチ
70〜100エネルギーが高く前向きコーチング(挑戦・目標)
50〜69安定しているが課題ありコーチング(傾聴+問い)
30〜49感情が揺れ不安定カウンセリング的関わりが必要
0〜29抑うつ・無力感が強いカウンセリング/医療支援の紹介も検討

📊図解:コーチングとカウンセリングの境界イメージ

[エネルギー高↑] ──────────────▶
100 ─┬──────────────────
│ 挑戦/行動/目標(コーチング)
70 ┤
│ 前向きだがやや不安(問いで引き出す)
50 ┤────── 境界ゾーン ──────
│ 感情が揺れやすく過去にも引っ張られる
30 ┤
│ 強い不安/落ち込み(カウンセリング領域)
0 ┴──────────────────
[エネルギー低↓] ◀──────────────

自分はこのような目安をもとに、状態によってはコーチングを一時中断し、
必要であればカウンセリングや医療支援を提案することもあります

大切なのは「どちらが上か下か」ではなく、今その人にとって何が必要かという視点です。


“ことば”には、癒しと前進の両方の力がある

カウンセリングは「癒し」
コーチングは「前進」
……と分けることもできますが、その境界はグラデーションです。

どちらにおいても共通するのは、「言葉」を通して自分自身を見つめ直すというプロセス。
ときには感情を吐き出し、ときには未来を語り、
その繰り返しの中で少しずつ前に進めるのだと思います。

自分はコーチとして、そして一人の人間として、
「話してもいい」「聴いてくれる人がいる」――
そんな空間が、人の心を軽くし、人生を変える力になると信じており、実践しています。


今、あなたの中にある気持ちは、どのあたりのレベルにありますか?
そして、もし誰かに話せるとしたら、どんなことから伝えてみたいでしょうか?

今日も佳き日に

コーチミツル


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