■ 「あなたのため」と言われた言葉の裏で
先日、テレビ番組『上田と女のdeepに吠える夜』で「バウンダリー(Boundary)」という言葉が紹介されていました。
人と人との間に引く「心の境界線」。親しい人との関係でこそ、意識が必要なテーマです。
10年前、ある人から「あなたのためを思って」と厳しい言葉をかけられたことがありました。
そのときの自分は素直に受け入れ、反省しようとしていましたが、今振り返ると、それは相手の感情を自分の中に持ち込みすぎていたのかもしれません。
当時は「ありがたい忠告」と思っていましたが、あれは相手が自分の境界を越えてきた「侵入」でもあったのだと、今ならわかります。
このテーマについては、以前のブログ
👉 「“思いやり”と“おせっかい”の境界線」(https://coach-mitsuru.com/archives/942)
でも触れています。今回はその延長として、自分の心を守る境界線=バウンダリーをどのように保つかを考えてみたいと思います。
■ バウンダリーとは何か
心理学では、バウンダリー(boundary)=心理的な境界線と定義されます。
簡単に言えば、「ここから先は自分の責任・ここまでは相手の責任」と線を引くこと。
これを持たないと、相手の気持ちを自分のことのように背負い込んだり、逆に自分の価値を他人に委ねてしまうようになります。
たとえば――
- 相手の機嫌が悪いと「自分のせいだ」と感じてしまう
- 誰かに否定されると「自分はダメな人間だ」と思ってしまう
- 相手を喜ばせることが“自分の価値”だと思ってしまう
これらはすべて、バウンダリーが曖昧な状態です。
■ 自己価値を他人に委ねないために
自己価値とは、「自分が何者であるか」という感覚。
本来それは、他人の評価によって上下するものではありません。
しかし、境界が弱くなると、他人の言葉が自分の価値を左右してしまいます。
バウンダリーを守るためのポイントを3つ挙げてみます。
- 「相手の感情は相手のもの」と意識する
相手が怒っている・落ち込んでいるのは、自分の責任ではなく、相手の心の中で起きている出来事です。 - 「私はどう感じるか」を大切にする
相手がどう思うかよりも、まず自分がどう感じているかを一瞬立ち止まって確かめてみましょう。
その感情を押し殺さず、丁寧に扱うことが自己尊重につながります。 - 「NO」と言う勇気を持つ
断ることは、相手を拒絶することではなく、「自分を守る選択」です。
自分を守れる人ほど、他人にも優しくなれるのです。
■ 境界を保ちながら、関係を深める
バウンダリーを引くというと「距離を取る」「冷たくなる」と思われがちですが、実際は逆です。
お互いの領域を尊重し合うことで、関係はより健全で、安心できるものになります。
自分を大切にできる人は、相手も尊重できる。
その関係性こそが、本当の意味で「深い絆」と呼べるのだと思います。
■ 問いかけ
あなたの周りで、「相手のため」と思って越えてしまっている境界はありませんか?
そして、自分自身の価値を他人に委ねていませんか?
今日一日だけでも、「自分の気持ちは自分のもの」と意識して過ごしてみてください。
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