「応援される側って、どうしてあんなに力が湧くんだろう?」
世界陸上2025で、男子110mハードルの 村竹ラシッド選手 や、男子400mの 中島佑気ジョセフ選手 が
「観客の声援が心を震わせた。力になった」と語ったインタビューを見ながら、そんな問いが浮かびました。
自分自身も高校時代、学園祭でトランペットのソロを吹いた瞬間、
音が鳴り始めた途端に自然な拍手が生まれ、会場が一体になった感動を今も鮮明に覚えています。
一方、翌年のバンド演奏ではメンバーの奇抜な態度が不評を買い、総スカン。
会場の空気は重く、演奏はどこかちぐはぐ。
――応援がある時とない時、何が違うのでしょうか。
応援が生む“力”の源
オキシトシンとドーパミンの分泌
応援や拍手を受けると、人は「社会的承認」を感じ、幸せホルモンのオキシトシンや快感をもたらすドーパミンが分泌されます(Psychoneuroendocrinology, 2019)。
→ 緊張が和らぎ、集中力が高まる。
観衆効果(ソーシャル・ファシリテーション)
心理学者ロバート・ザイアンスの研究(1965年)では、観客の存在が“慣れた作業”のパフォーマンスを向上させることが示されています。
→ 体が覚えた動作ほど応援が追い風に。
ミラーニューロンと共鳴
観客の表情や拍手は演者の脳内ミラーニューロンを活性化。
→ 「一緒に盛り上がっている」という共鳴が、演奏や競技をさらにポジティブに循環させます。
「間」がつくる余韻と力
拍手や声援を浴びる人は、あえて“間”を取ることが多いもの。
プロ野球のヒーローインタビューを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
観客の歓声が落ち着くまで待ち、
インタビュアーの質問に「そうですね」と肯定から始めて、真摯に言葉を選びながら答えていく――。
この「間」が観客の呼吸を整え、
エネルギーをさらに高め、拍手が自然と重なっていきます。
研究でも、間を効果的に使う演説や音楽は聴衆の感情移入度が高くなる
(Journal of Nonverbal Behavior, 2021)と報告されています。
SNSでは「失敗」の方が反応を呼ぶ?
「成功より失敗をシェアした時の方が“いいね”が多い」と感じる人は少なくありません。
2020年のハーバード・ビジネス・スクールの研究では、自分の失敗談や未完成な姿を見せた方が“親近感”が高まる
(“Pratfall Effect”再検証)と報告されています。
成功だけを発信すると心理的距離が生まれやすい一方、
挑戦の過程や失敗をオープンにすることで、
「同じ人間なんだ」「自分も頑張ろう」と感じるフォロワーが増えるのです。
応援される側が心がけたいこと
- 誠実さと一貫性
態度そのものが観客への敬意を示す最大のメッセージ。 - 感謝を言葉と表情で伝える
目線を合わせ、笑顔で“ありがとう”を。拍手は双方向のコミュニケーション。 - 共感を呼ぶストーリー
背景や努力の積み重ねをシェアすると「一緒に」と思える。 - 間を恐れない
沈黙は“聴衆が応援する隙”を作り、拍手が自然に湧き上がる。
応援したくなる人の共通点
- 挑戦を楽しみ、失敗もオープンに語る
- 誰かを応援する側にも回れる
- 結果よりも成長を喜ぶ
応援は「与える」だけでなく「引き出す」行為。
自分が誰かを応援するほど、その人は自ら輝き出します。
家族や仲間、職場でも同じです。

まとめ
応援は単なる声援ではなく、脳と心を動かす科学的な“力”。
そして、間を大切にすること、挑戦と失敗をオープンにすることが
応援される人の魅力をさらに引き出します。
最後に、応援してもらえるように振る舞うことは大切です。
しかし、環境やタイミングによっては、どれだけ誠実に挑戦しても反応が返ってこないこともあります。
だからこそ、外に反応を求めすぎず、自分の行動を自分で肯定する力が欠かせません。
拍手や「いいね」がなくても、挑戦した事実そのものが、あなたの価値を何ひとつ損なうことはありません。
今日は誰を応援しますか?
そして、あなた自身はどんな瞬間に応援されたいですか?
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