
庭のソテツに水をあげていたある日、ふとした場面で足が止まりました。
いつもは根っこの方に水をやるのですが、暑かったのでソテツが涼しくなるようホースの水を上から葉にあたると、その水が葉の表面をつたって、幹のてっぺんのあたりに流れていったんです。
まるで、葉っぱが水を集めて、中心部に送り届けているような…そんな風にも見えました。
「あれ?これってもしかして、幹の上からも水を吸っているのかな?」
そんな疑問が浮かび、気になって調べてみることにしました。
根っこじゃないところからも水を吸うの?
植物が根から水を吸うというのは、昔からなんとなく知っていることでした。
でも、目の前で起きたあの現象を見ていたら、「根っこ以外でも吸えることってあるのかも?」と思えてきました。
もちろん、植物の専門家でもないし、正確なことはわかりません。
でも、わからなかったからこそ、調べてみようと思ったんです。
葉っぱから水を吸う?「葉面吸水」という言葉
調べてみると、「葉面吸水(ようめんきゅうすい)」という言葉に出会いました。
どうやら植物によっては、葉の表面から雨や霧、夜露などを取り込むことがあるらしく、
アメリカの大学の研究でも、森林の植物が葉の表面から水分を吸収していることが報告されていました。
「葉面吸水は、乾燥した環境でも植物が生き抜くためのひとつの方法である」
(PNAS, 2009)
自分がふと気になった“葉から幹に水が流れていく様子”も、全く的外れではなかったようです。
幹や枝の表面からも?
さらに読んでみると、幹や枝の表面からも水を吸っている植物がいることも知りました。
特に乾季がある地域では、夜露を幹の表面から吸収することで水分補給している植物があるとのことです。
「幹の表面吸水は、乾季における植物の水分補給に大きな役割を果たしている」
(Plant, Cell & Environment, 2014)
ソテツの葉が“幹へ水を届けている”?
思い返してみると、ソテツの葉は放射状に広がっていて、
水が幹の中心に向かって自然と流れていくような形になっています。
これも気になって調べてみたところ、「葉の構造が水を集めて幹へ導く」こともあるそうです。
「葉の形状によって水を中心に集め、成長点や葉の付け根から吸水する構造がある」
(Oecologia, 2007)
植物の世界は、想像以上に奥が深いと感じました。
雪ずりを避けるように伸びた茎
この話をしながら、もうひとつ思い出したことがあります。
それは、以前のブログにも書いたこちらの出来事です。
このときは、ソテツが軒下の方に茎を伸ばしていたことに気づき、
「これはもしかして、屋根からの雪ずりを避けているのでは?」と思ったことを綴りました。
植物は場所を選べない存在ですが、それでも伸びる方向をほんの少し調整しながら、
自分の命を守るように工夫しているのかもしれません。

観察力がすべてのはじまり
今回のような気づきは、特別な知識があったわけではありません。
ただ、目の前の植物をよく見て、「あれ?」と感じたことが出発点でした。
先日のブログでも書いたように、観察力はすべてのはじまり。
「なんとなく気になる」という感覚を見逃さずに大切にすることで、
そこから調べることや学ぶことが広がっていくのだと思います。
難しいことは分からなくても
今回のように、難しいことがわからなくても、
自分の目で見て、気になったことを調べてみるだけで、
新しい世界が少しずつ見えてくる気がします。
庭のソテツは、葉から水を集めて幹に届けているかもしれないし、
雪ずりを避けるように軒下へ伸びているのかもしれない。
その「かもしれない」を見つけられるのが、観察する力の醍醐味なのかもしれません。
これからも、自分のまなざしで自然と向き合いながら、
そこで感じたことを、ひとつひとつ言葉にしていけたらと思います。
今日も佳き日に
コーチミツル
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文献・出典(※一般向けに要約されたものを中心に参照)
- Limm, E. B., et al. (2009). Foliar water uptake…. PNAS, 106(27), 10365–10369.
- Yates, C. J., & Hutley, L. B. (2014). Surface water absorption by tree stems…. Plant, Cell & Environment.
- Brewer, C. A., & Nuñez, C. I. (2007). Leaf surface wetness…. Oecologia, 153(3), 561–569