
Instagramリールとの出会い
先日、Instagramで偶然出会ったリールに、心をつかまれました。
そこには「子どもが『自分でやってみたい』と思って動き出すのを信じて、そっと見守る力。それが『放置力』なんです」という言葉がありました。
たった数秒の短い動画でしたが、まるで自分がコーチングで大切にしている考えを、シンプルで温かい言葉に置き換えてくれたようでした。
(「応援しすぎることが、かえって…」という一言が印象的です)
「放置力」とは?
「放置」と聞くと、冷たい、無関心という印象を受けるかもしれません。
しかし、このリールが伝えていた「放置力」はまったく逆で、相手を信じ、必要なときまであえて手を出さない勇気のことです。
時に、良かれと思って助けたりアドバイスしたりすることが、相手の主体性や成長の機会を奪ってしまうことがあります。
放置力は「何もしない」のではなく、「相手が動き出すタイミングを尊重する」という、深い思いやりから生まれる姿勢です。
「啐啄(そったく)の機」との共通点
以前このブログでも紹介した、禅語の「啐啄の機」。
これは、雛が卵の中から殻をつつく「啐(そつ)」と、親鳥が外から殻をつつく「啄(たく)」が、ぴったり合った瞬間にだけ命が外の世界へと踏み出せる…という教えです。
どちらが早すぎても遅すぎても、雛は生まれることができません。
放置力も同じです。
相手の内側から「やってみたい」という動きが生まれるまで待ち、そのサインが見えたら、そこで初めて外から支える。
その呼吸が合ったときにこそ、本当の成長が生まれます。
放置力を持つ人に共通する資質
心理学の研究では、**自己決定感(自分で選んで行動する感覚)**が高いほど、モチベーションの質や行動の持続力が高まることが分かっています。
放置力を持つ人は、この自己決定感を奪わずに見守ることができます。
例えば、
- 結果を急がずに待てる
- 失敗を受け止められる
- 自分の不安をコントロールできる
- 相手の成長を信じられる
これらは、家庭でも職場でも人間関係を大きく変える力になります。
自分自身の経験
コーチングの現場では、「この質問をすれば一気に進む」と思う瞬間があります。
しかし、それでもあえて口にしないことがあります。
相手が自分で答えにたどり着いたとき、その喜びや自信は何倍にも膨らむからです。
子育てでも、部下育成でも、趣味の仲間関係でも同じ。
こちらが先に殻を割ってしまうのではなく、相手の中で準備が整うまでそっと待つ。
その静かな時間こそが、一番のギフトになることを感じています。
放置力は、何もしない力ではなく、最適なタイミングまで信じて待つ力。
そして、そのタイミングを見極める感性は、経験や観察を重ねることで少しずつ育っていきます。
ちなみに何でも知っているAIにも学習モードがあって答えを教えてくれなかったりしますよね。
あなたが最近「手を出さずに待った」ことは、何ですか?
それは、相手にどんな変化をもたらしましたか?
今日も佳き日に
コーチミツル
放置力 #啐啄の機 #コーチング #見守る力 #タイミングの大切さ #自己決定感 #成長の瞬間 #心理学 #子育て #人を信じる力