
朝、起きてすぐに畑の野菜に水やりをしました。晴れの日が続いていて、土はすっかり乾いていたからです。まだ寝起きのまま、半袖に短パンという軽装で外へ出ました。
ふと、昔のことを思い出しました。子どもの頃は、こうして外に出るとすぐに蚊がたかってきて、後から痒くて痒くてたまらなかったものです。でも、そんな自分のそばで、親父が「おれは蚊に刺されないから」と涼しい顔で話していたのを思い出しました。
そんなことを思い出しながら、ふと足元を見ると、なんと7〜8匹の蚊がとまっているではありませんか。あわてて叩いたら、やっぱり血を吸っていた形跡が…。でも、驚いたことに、その後もまったく痒くならなかったのです。
蚊に刺されると、なぜ痒くなるの?
蚊に刺されると痒くなるのは、実は体の免疫反応のひとつです。蚊は血を吸うときに、血が固まらないようにするための唾液を体内に注入します。その唾液の成分を体が「異物」と判断し、免疫が反応してヒスタミンという物質を放出します。このヒスタミンが、痒みや腫れ、赤みのもとになります。
つまり、痒みは蚊に刺されたことに気づくための「警報」のようなものともいえるのです。
痒くならないのは、なぜ?
では、なぜ今回、自分は痒くならなかったのでしょうか。いくつか考えられる理由があります。
- 免疫の慣れ(脱感作)
長年刺されるうちに体が慣れて、過剰に反応しなくなることがあります。これは「脱感作」と呼ばれています。 - 加齢による感覚の変化
年齢とともに皮膚の感覚が少しずつ鈍くなったり、免疫の反応が緩やかになったりすることで、痒みを感じにくくなることもあります。 - もともとの体質
人によって、蚊の唾液に対するアレルギー反応が弱く、痒みをあまり感じない方もいるようです。
実際に、日本皮膚科学会などでも「子どもの方が強く痒みを感じ、大人になるにつれて軽くなることが多い」とされています。
痒くないのはいいこと?悪いこと?
痒みがないのは快適で楽に感じますが、実は注意も必要です。
- 刺されたことに気づかない
長く蚊がとどまっていても気づかないため、たくさん血を吸われてしまうことがあります。 - 感染症のリスク
蚊はデング熱やウエストナイル熱などのウイルスを媒介することがあります。気づかず刺されることで、感染のリスクが高まる可能性もあるのです。
昔やっていた「食塩水」を塗るという方法
子どもの頃、蚊に刺されたときに「掻いちゃだめ!」と言われて、代わりに食塩水を塗った経験がありました。不思議とそれで痒みが和らいだ記憶があります。
実は、塩には軽い抗炎症作用があり、浸透圧によって皮膚表面の水分バランスを調整する働きもあると考えられています。科学的には限定的ながらも、世界中で似たような民間療法が使われており、理にかなった部分もあるようです。
蚊に刺されないための知恵
痒くならないのも困りますが、そもそも刺されないようにするのがいちばん安心ですね。実際に試している方法と、自然の力を借りる方法をご紹介します。
- 朝夕の外出時には肌の露出を控える
蚊は気温や湿度の高い時間帯(特に朝夕)に活発になります。 - 薄手でも長袖・長ズボン
風通しのよい服を選べば、暑さも防げて蚊にも刺されにくくなります。 - 扇風機を使う
蚊は飛ぶ力が弱いので、風を当てると近づけません。 - 水たまりを作らない
バケツや鉢受けの水はこまめに捨てましょう。 - ハーブの力を借りる
蚊が嫌う香りを持つ植物を身近に置くのも効果的です。
特におすすめは以下のようなハーブです:
- ペパーミント:メントールの香りが蚊を遠ざけます
- レモングラス:レモンに似た爽やかな香りで虫除けに◎
- ゼラニウム(ローズゼラニウム):甘い香りがあるのに蚊は苦手
- ラベンダー:香りに癒されながら虫よけ効果も期待できます
これらのハーブを庭や鉢で育てたり、精油を薄めてスプレーにしたりすると、自然にやさしく蚊を遠ざけることができます。

昔は刺されるたびに痒くてたまらなかったのに、今は刺されても気づかない
そんな変化に、ちょっとした驚きと、体の不思議さを感じました。
でも、どんな変化にも意味があり、気づくことで次の対策や工夫につながります。自然の中で過ごす時間が増える今だからこそ、体の反応に耳を傾けながら、できることを少しずつ試していきたいと思います。
自然に寄り添いながら、夏を健やかに、心地よく過ごせますように。
今日も佳き日に
コーチミツル