秋のお彼岸になりました。お墓を掃除して先祖に感謝するこの時期、赤い彼岸花が一斉に咲きそろう景色は、何度見ても心が動きます。
まるで「そろそろ咲こうか」と相談しているように、同じタイミングで花を開く姿には、自然のリズムと不思議さを感じますよね。
植物は“根”で交信している?
そんな想像も、じつはあながち冗談ではありません。
近年の研究では、植物が地下の菌根菌(マイコリザ)ネットワークを通じて、栄養や情報をやりとりしていることがわかっています。
- カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のスザンヌ・シマード博士は、森の木々が「ウッド・ワイド・ウェブ」と呼ばれる地下ネットワークで炭素や窒素を分配していることを明らかにしました。
- 2018年のNature Ecology & Evolution誌でも、植物同士が根や菌糸を介してストレス情報を伝え合う例が紹介されています。
つまり彼岸花も、球根同士や周りの草花と“ネットワーク”で交信しているのかもしれません。
……根だけに「根ットワーク」! 文字通り“ね”っとわーくですね(笑)。
花が咲く理由――“認知される”ため
鮮やかな赤や独特の香りは、蜂や蝶などに「ここにいるよ」と知らせ、種を残すための大切な戦略。
人間が思わず見とれてしまうのも、自然が仕掛けた“認知作戦”なのかもしれません。
お彼岸と“先祖とのネットワーク”
お彼岸は春と秋、年に二度やってきます。
太陽が真東から昇り真西に沈む「春分・秋分の日」を中日(ちゅうにち)として、その前後3日を合わせた7日間。
仏教では迷いや煩悩に満ちたこの世を「此岸(しがん)」、悟りの世界を「彼岸(ひがん)」と呼びます。
昼と夜の長さがほぼ等しくなるこの日は、此岸と彼岸が最も近づくとされ、先祖を供養し、自分を見つめ直す絶好の機会。
“近づく”というのは、まるでこちらとあちらを結ぶ「先祖ネットワーク」が強くつながるようなもの。
地下で根が菌糸を介して交信するように、私たちもこの時期は心のアンテナが研ぎ澄まされ、先祖と“交信”しやすくなるのかもしれません。
ふとよみがえった父母との思い出
墓掃除を終えたあと、ふと亡き父母の姿が浮かびました。
子どもの頃、春の田植えで忙しい中でも家族を行楽地に連れて行ってくれた父母。
姉が先日、母の得意だった奈良漬けに挑戦して持ってきてくれたこと――。
漬物の香りとともに、母の顔が鮮やかによみがえりました。
これもまた、先祖との“心のネットワーク”がつながった瞬間だったのかもしれません。
見えないけれど確かにある絆を、お彼岸の季節がそっと思い出させてくれたように感じます。
感謝とつながりを感じる時間
お墓を掃除し手を合わせる――その行為は、亡き人への感謝と同時に、自分が「いのちのリレー」の一部であることを確かめる時間です。
彼岸花の赤は、過去と未来を結ぶ見えない糸をそっと教えてくれているように思います。

今日も佳き日に
コーチミツル
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