214.懐かしい味が、もう一度戻ってきた日(おふくろの梅酢づけと、食卓に宿る記憶)

先日、土用干しを終えた梅干しの片づけをしていると、古びた容器がひとつ、目に留まりました。埃をかぶり、見た目にはもう処分してもよいような姿。ところが、中には梅酢のような液体が残っていました。

ふと「これは…」と思って、匂いをかいでみる。指先につけて味をみる。

むむむ、大丈夫だ。

そう思った瞬間、容器の側面にあった「令和5年6月5日」の文字が目に入りました。書いたのは、今年の一月に旅立ったおふくろの字です。

おふくろの味をもう一度

おふくろが遺してくれた味。まさか半年以上たって、その味にまた出会えるとは思ってもいませんでした。今はもう、自分の手で味噌汁をつくり、残り野菜で浅漬けを漬け、今年は初めての梅干しづくりにも挑戦しています。

それでも、あの味はもう食べられないと思っていた。

でも、こうしておふくろの字の残った梅酢に出会ったとき、不思議と、もう一度あの味に会えたような、胸が熱くなる感覚がありました。

梅酢はどれくらいもつの?

では、この「梅酢づけ」、果たしてどのくらい保存が可能なのでしょうか?

調べてみると、梅酢は殺菌・防腐作用のあるクエン酸や塩分を多く含むため、冷暗所で適切に保管されていれば、数年は保存可能とされています【参考:農研機構/梅酢の機能性成分と保存性】。特に、赤紫蘇を使用した「赤梅酢」は抗菌性も高く、色落ちがなければ風味も維持されやすいそうです。

ただし、開封後は冷蔵庫保存がおすすめです。

梅酢で何が作れるの?

おふくろの味に近づくため、梅酢でできる料理も少し調べてみました。

梅酢の活用例:

  • 梅酢ドレッシング:オリーブオイル・しょうゆ・梅酢を混ぜるだけで、さっぱりサラダに。
  • 梅酢の浅漬け:きゅうりや大根に少しの梅酢をまぶすと、昔懐かしい酸味に。
  • 梅酢ごはん:ごはんに混ぜるだけで、おにぎりや弁当が傷みにくくなる。
  • 鶏の梅酢煮:砂糖と醤油とともに鶏肉を煮れば、さっぱり夏向けのおかずに。

どれも、おふくろが作っていそうな、素朴でほっとする味ばかりです。

食卓に残る、記憶という調味料

「おふくろの味」とは、単なる料理のことではないのかもしれません。

料理そのものよりも、その時の空気や匂い、一緒に囲んだ食卓や会話――そうしたものすべてが重なって、心の奥に残っていく。

自分も少しずつ、自分の手でその味を再現できるようになってきた今、ようやく思えるのです。

もう一度、あの味に会えることが、どれだけ幸せなことか――

そんな記憶が、あの古びた容器からそっと蘇った気がしました。


あなたにとっての「おふくろの味」は、どんな一皿ですか?

今日も佳き日に

コーチミツル

#おふくろの味 #梅酢づけ #梅干し #土用干し #梅しごと #手作り保存食 #思い出の味 #母の記憶 #丁寧な暮らし #和食のある暮らし

参考文献:


この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!