
春の畑で見つけた、小さな変化
今シーズンから、自然栽培を軸に畑づくりをしています。
農薬や肥料に頼らず、土と植物の力を信じて育ててみようと、あらためて畑に向き合っているところです。
そんな春のある日、畑を歩いていて、ふとした違和感がありました。
毎年のように悩まされていたスギナが、今年はずいぶん少ないのです。

その代わりに目についたのが、つるを伸ばしてやわらかな葉を広げ、小さなさやをつける「スズメノエンドウ」でした。

同じ畑なのに、雑草の顔ぶれが変わってきたことに気づき、なんで変わってきたのか不思議に思いました。
雑草が教えてくれる土の変化
そこで、少しだけですが、調べてみました。
スギナは、酸性で固く締まった土を好む植物だといわれています。
地下茎でどんどん広がり、引き抜こうとしても葉がすぐに切れてしまう、なかなか手ごわい存在です。
自然栽培を始める前の畑では、このスギナにずいぶん手を焼いてきました。
一方のスズメノエンドウはマメ科の植物で、根に根粒菌という微生物を共生させています。
この菌は空気中の窒素を土に取り込み、まわりの植物にとって育ちやすい環境を整えてくれます。
つまり、スズメノエンドウが増えてきたということは、土が少しずつアルカリ性側に整ってきたサインかもしれません。
自然のバランスの中で、畑がゆっくりと息を吹き返しているように感じました。

雑草の移り変わりと、人間関係
この雑草の変化を見ていると、人の集まりや組織のあり方にもどこか似ているなと感じます。
たとえば、ある時期は、意見の強い人や周囲を圧倒するような存在が目立つ環境に身を置くこともあります。
その中でなんとかやっていこうとがんばるうちに、自分らしさを見失ってしまうこともあるかもしれません。
でも、時が経つにつれ、静かに支え合ったり、互いを尊重し合える関係に囲まれるようになってくると、
「あれ?なんだか空気がやわらかくなったな」と感じることがあります。
その変化は、外側の環境が変わっただけではなく、
自分の心のあり方や受け止め方が少しずつ変わってきた結果なのかもしれません。

自然にまかせて育つ力
自然栽培をしていると、思い通りにいかないことや不安になる場面もあります。
それでも、土を信じ、植物を信じて見守っていれば、ちゃんと必要な草が生えてくることもある。
無理に変えようとしなくても、自然には自然のペースがあって、そこには静かな力が働いているのだと実感します。
雑草の変化に気づいたこの春、畑から大切なメッセージを受け取ったような気がしました。
目立たないけれど、やわらかくてしなやかで、やさしい変化。
それは土の中で起きたことでもあり、自分の中でも起きていたことだったのかもしれません
今日も佳き日に
コーチミツル