208.良いところに目を向けるフィードバックとは(ダメ出しだけでは、人は動けない)

これまでのブログの中で、”フィードバック”と言う言葉を普通に使っていましたが、そのブログを読むうちにフィードバックについての説明をしていないという事実を見つけました。今日はコーチングスキルの中のフィードバックに焦点を当てて歴史や種類も含めてお話をしようと思います。


人はつい「悪いところ」に目がいってしまう

人の話を聞いたり、何かの発表を見たりしたとき、「もっとこうすればいいのに」「ここが気になった」と思うことはありませんか?

プレゼンや楽器演奏の場面でも、他の人のフィードバックを聞いていると、どうしても悪いところにばかり目がいきがちです。そして、最初にその“ダメ出し”を聞いてしまうと、心が閉じてしまい、それ以降の言葉が届かなくなることもあります。

自分も学生時代、部活動の中でコンクールに向けた練習をしていたときは、「頭がそろっていない」「アーティキュレーションが違う」といった指導が多く、モチベーションというよりも「できていないことを見つけられる時間」のように感じていたことがあります。

だからこそ、今、自分がフィードバックをする立場になったときに大切にしていることがあります。


「フィードバック」の語源はミサイル制御にあった?

「フィードバック」という言葉は、もともと工学の世界から生まれた用語です。
特にミサイルの軌道修正のために、飛行中の位置情報をもとに方向や速度を調整する技術として用いられていました。

この考え方が教育や人材育成の分野に応用されるようになり、「目標に向かって進む人を、少しずつ軌道修正しながら支える」ことを意味するようになったのです。

つまり本来のフィードバックとは、「間違いを指摘すること」ではなく、「目標に近づくための調整をサポートすること」なんですね。


フィードバックには種類がある

一口にフィードバックと言っても、その伝え方にはいくつかのタイプがあります。

1. ポジティブ・フィードバック

良いところや成功している点を具体的に伝える。
→ モチベーションや自信を高める。

2. コンストラクティブ・フィードバック(建設的フィードバック)

改善点を伝えながら、解決策や提案もセットで伝える。
→ 攻撃的にならず、前向きな行動を促す。

3. ニュートラル・フィードバック

感情を交えず、事実だけを伝える。
→ 例:「3分のプレゼンのうち、2分半は原稿を見ていました」

4. ネガティブ・フィードバック(否定的フィードバック)

問題点を厳しく指摘するもの。
→ 状況によっては相手のやる気を削いでしまうリスクも。


自分が大切にしているフィードバックの順序と関わり方

自分の場合は、講師や発表者に対してフィードバックをする場面が多くあります。その中で意識しているのは、次の3つのステップです。

1.まず、良いところを伝える

最初に良い点を伝えることで、相手は安心して耳を傾けやすくなります。
「声が落ち着いていて聴きやすかった」「導入のエピソードが印象的だった」など、その人ならではの魅力を具体的に言葉にして届けます。

2.次に、改善できるところを伝える(選択肢として)

ここでは「悪いところ」とは言わず、**「改善できるところ」**というスタンスで伝えます。
たとえば、「後半は少し早口になっていたから、間を意識して話すのも一つの方法だと思います」など。
大切なのは、「こうしなさい」ではなく、「こういう方法もありますよ」と、選択肢として提案することです。選ぶのはあくまで相手です。

3.時間があるときは、問いかけで内省を促す

本番直前であればこちらから提案することも多いですが、時間に余裕がある場合はあえて問いかけを中心にします。

「ずっと原稿を読んでいるように聞こえたけど、自分ではどう感じた?」
「もし、もっと伝わるとしたら、どんな工夫ができそう?」

こうした質問を通して、相手自身が気づき、考え、行動につなげていく流れを意識しています。
これはまさにコーチングにおけるフィードバックの醍醐味でもあります。


フィードバックは信頼から始まる

フィードバックとは、単なるアドバイスではなく、**「相手の可能性を信じている」というメッセージ」**でもあると思っています。

「あなたならもっと良くなる」
「その力を自分は見ている」

そんな想いが込められていれば、フィードバックはただの評価ではなく、信頼と育ちの関係性に変わっていきます。


良いところに目を向ける習慣を

誰かの悪いところを見つけるのは、実は簡単です。
でも、良いところに気づき、それを言葉にすることは、意識しないとできません。

だからこそ、自分はこれからも「良いところに目を向けるフィードバック」を大切にしていきたいと思っています。
もし、あなたが誰かにフィードバックをする場面があれば、ぜひ一度、その順序や言葉の選び方を意識してみてください。

きっと、相手の中にある可能性の芽が、そっと顔を出すはずです。

今日も佳き日に

コーチミツル

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